コラム

老後資金二千万円問題 100年あんしん年金の最大の問題点

2019年06月17日(月)13時24分

一方、100年安心をつくった専門家たちは、彼らの要であるマクロスライドは、インフレが起きて初めて実効性をもつので、やはりインフレが起きないのが悪い、ということになるのかもしれないが、それも要は名目で国民の目をだませる、あるいは政治的に抵抗感が少なく実質額を目減りさせて逃げ切れる、ということに過ぎないから、やはり欠陥制度、あるいは詐欺的な制度だ。

インフレ率が0%であったら、毎年2%名目額をカットする制度にする必要があるし、実は、今からだってそう制度を変えればすむのである。私の2割カットも2%インフレが10年続けばおおむね同じことだ、と彼らは言うだろう。だから2%のインフレが必要だとも。私に言わせればそれは本末転倒だが、ここではリフレ政策を攻撃しても仕方がないから、年金に戻ろう。

私がもっとも危機感を抱いているのは、専門家たち、いわゆる有識者たちが、年金制度を2004年以降、もう問題がない、として放置してきたことにある。そこで誰も戦ってこなかったことにある。一部の官僚たちが危機感を持って戦ってきたが、彼らは世の中から実質的に抹殺された(正確に言えば、危機感を政策に反映させる道を奪われた)。

したがって、究極的には、この年金問題のいまさらの盛り上がりの責任は、専門家、有識者たちの無責任さ、ぼーっと生きてきたこの15年にあると考える、というのが私の結論である。

*この記事は「小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記」からの転載です

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プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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