最新記事
シリーズ日本再発見

三大財閥で最も「商標登録」が遅かった企業はどこか?...誰もが見たことのある、企業ロゴの歴史

2024年10月25日(金)08時05分
友利 昴(作家)
内田勇太郎商店の「三菱缶詰」

缶詰の分野で商標登録していた内田勇太郎商店の「三菱缶詰」 『江戸・明治のロゴ図鑑: 登録商標で振り返る企業のマーク』210ページより 提供:作品社

<三井の「井桁に三」、住友の「菱井桁」、三菱の「寄せ三ツ菱」など、誰もが知っている企業のロゴマークの長年の歴史について>

明治17年(1884年)、日本に商標登録制度が誕生してから今年で140年。その最初期の登録商標をひも解くと、日本の伝統産業である薬や醤油、清酒などに使われた、家紋調、暖簾印、浮世絵風の江戸情緒を感じさせる図案があふれている。

なかには現在でもおなじみの企業や商品のロゴマークの原形となるものや、今もほとんど図柄を変えずに承継されているものも...。各商標の誕生秘話や産業動向、歴史などエピソードも添えた話題書『江戸・明治のロゴ図鑑──登録商標で振り返る企業のマーク』(友利昴・著、作品社)より「コラムその肆」を抜粋。


 
◇ ◇ ◇

日本を代表する財閥系企業グループ、三井・住友・三菱。財閥とは、同族が幅広い業種の企業を所有し、そのつながりによって市場で強大な支配力を有する企業集団だ。

日本では、太平洋戦争後にGHQの政策により解体されたものの、現代においても企業グループとして強い存在感を示しており、三井・住友・三菱のブランド力も絶大だ。

三井は「井桁に三」、住友は「菱井桁」、三菱は「寄せ三ツ菱」のロゴマークをそれぞれ用い、長年の歴史と実績の積み重ねによって、各グループの証として大きな信用力を備えている。

しかし、これらのマークはいずれも伝統的な家紋を基とするもので、それらは本来、各財閥に固有のものではない。したがって、他にもこれらに似たマークを伝統的に用いていた事業者は少なくなかった。

果たして、商標権の取り合いにはならなかったのだろうか。

三大財閥で最も商標登録が早かったのは住友家で、商標登録制度開始の翌年、明治18年(1885年)を皮切りに、複数の菱井桁を商標出願している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

良品計画、8月31日の株主に1対2の株式分割

ビジネス

日経平均は小幅続落、ファーストリテが320円押し下

ビジネス

英GDP、5月は前月比-0.1% 予想外に2カ月連

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中