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日本の接客業に求められるサービスには「身だしなみ」も含まれる

2019年11月28日(木)16時45分
高野智宏

「ネイルで言えば、ある雑貨店で男性のお客様がパートナーの女性へのプレゼントを購入し、女性が袋を開けたら、その中にはプレゼントと剥がれたジェルネイル(付け爪)が入っていたというケースを聞きました。怖いやら気持ち悪いやら、腹立たしいやら、お客様は大変だったことでしょう」

そう苦笑するのは、某アクセサリーメーカーで20年以上のキャリアを誇り、現在は販売員のモチベーション、コミュニケーション力の向上を手掛ける販売心理アドバイザーとして活躍する横山美裕さんだ。横山さんに、接客業における身だしなみのマナーで重要なポイントを聞いた。

「ポイントは3つ。1つめは、人から見て清潔さを感じられること。これは大前提ですね。2つめが職場で必要な動作に適した機能性を持っていること。そして、3つめが周囲との調和です。よくあるのが、お洒落と身だしなみを勘違いしていること。お洒落は自分の好きな服装であり、身だしなみはお客様など相手に不快感を与えないための服装です」

気を付けるべき身だしなみには「におい」も含まれる

なるほど、つまりは思考が自分本位か相手本位かということだろう。なお、気を付けるべき身だしなみは、実は服装やヘアメイクといった目に見えるものばかりではないと、横山さんは言う。

「においです。飲食業での香水がもってのほかなのはもちろん、お客様と至近距離で接する接客業では口臭も気を付けたいもの。食後の歯磨きはもちろんのこと、においの強いものを食べたときはブレスケアを持参するなど注意したい。『スメハラ(スメルハラスメント)』なる言葉もあるほど、においを不快に思う人は多いのです」

接客業で不快に感じるにおいと言えば、代表的なのがたばこのにおいだろう。健康相談支援サービスを提供するティーペックが2017年、男女1500人に行った「喫煙に関する意識調査」によると、回答者の約6割が商品購入やサービスを受ける際にたばこのにおいを感じたことがあり、そのうち、たばこのにおいを「非常に不快だった」「不快だった」と回答した人は合計で約7割に及んだ。

また、たばこのにおいで不快な思いをした業種は、外食産業が42.3%でダントツのトップに。以下、鉄道やバス、タクシーの旅客運送業が26.5%、自動車販売が20.6%、食品販売が20.4%と続いた。

「ただでさえ、たばこのにおいが苦手なのに、食事を楽しみにして来たレストランで嗅がされるのは厳しいですね」と、アンケート結果を裏付ける発言をするのは、妊娠して体質が変わり、以降、たばこのにおいを受け付けなくなったという服飾メーカーに勤務する田上博美さん(仮名)だ。

「たばこを吸った後の息はもちろん、たばこを持つ指にもにおいが残る。その手でおしぼりを渡され、ずっとおしぼりがたばこ臭く、食事を楽しむどころではありませんでした」と、田上さんは不快な経験を振り返る。接客業の従事者は、喫煙後は口臭対策に加え、石鹸での手洗いなども励行すべきかもしれない。

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