最新記事
シリーズ日本再発見

日本の免税店で外国人旅行者は何を買っているのか

2018年09月07日(金)16時45分
高野智宏

提供:全日空商事デューティーフリー株式会社

<堅調に伸びているインバウンド市場だが、海外旅行で買い物といえば免税店。日本を訪れる外国人に、今どんな商品が人気なのか>

日本政府観光局(JNTO)が発表した2017年の訪日外国人旅行者数は、前年比19.3%増となる約2869万人となり、5年連続で過去最高を更新。また、訪日外国人客による日本滞在中の消費額も約4兆4161億円と初めて4兆円を突破し、こちらも過去最高を記録。インバウンド市場は堅調な伸びを示しているようだ。

ひと頃騒がれた訪日中国人による「爆買い」トレンドは沈静化し、「爆買いは終わった」との声もあるが、今もインバウンド消費全体のうち、中国人の消費額は約1兆6964億円と40%弱を占める。続く台湾の5744億円と比べても倍以上と、その消費額は突出している。

政府は2020年には、訪日外国人観光客を4000万人に、消費額を8兆円にとする目標を立てている。

東京オリンピック・パラリンピックの開催があったとしても達成はやや厳しいと見る向きもあるが、それでもインバウンド市場が成長し続けていることは事実であり、その成長曲線が2020年まで続くことは間違いないだろう。日本は今、観光大国への道を着々と進んでいるのかもしれない。

4兆円超の消費額のうち、最も高い比率を占めるのが、37.1%を占める買物代だ。では、実際のところ日本の小売店はどれほど売り上げを伸ばしているのか。ここではその指標のひとつである、免税店に注目したい。

タックスフリーとデューティーフリーの違い

ひとくちに免税店といっても、免除される税の種類により「タックスフリー」と「デューティーフリー」のふたつに分けられる。

タックスフリーとは別名「市中免税店」または「消費税免税店」といい、その名のとおり街中で展開し消費税を免税する店舗のことで、免税を受けられるのは日本の「非居住者」、つまり、訪日外国人に限定される。

免税となる対象は「輸出する、通常生活用に供される物品(一般物品、消耗品)の消費」に限られ、事業用ではなく一般消費者として購入した物品が対象となる。また、基本的には同店舗で同一日の購入額の合計が5000円以上で免税となる。

一方、デューティーフリーは、消費税に加え、関税に酒税、たばこ税までもが減税される免税店であり、「空港型免税店」の名の通り、基本的には国際空港の出国エリアに出店される。というのも、空港における出国手続き後の出国エリアは税制上日本国外の保税地域と見なされ、日本の課税制度が適用されないためだ。

なお、近年では「空港型市中免税店」という新たな形態の免税店も登場している。三越銀座店の「Japan Duty Free GINZA」やタカシマヤ タイムズスクエア(新宿)の「高島屋免税店 SHILLA&ANA」、そして、東急プラザ銀座の「ロッテ免税店銀座」などだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日本製鉄、今期純利益は42%減の見通し 関税影響見

ワールド

台湾総統、新ローマ教皇プレボスト枢機卿に祝辞 中国

ワールド

パナソニックHDが今期中に1万人削減、グループの業

ワールド

インド、パキスタンによる国境全域での攻撃発表 パキ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中