最新記事
シリーズ日本再発見

日本の免税店で外国人旅行者は何を買っているのか

2018年09月07日(金)16時45分
高野智宏

これは街中にして空港型店舗と同様の免税が受けられるというものだが、購入品物はその場で受け取ることができず、日本からの出国時、空港の引き渡しカウンターで受け取るという仕組みだ。

なお、これらの店舗では日本人の購入も可能だが、当然、国内における商品の使用は禁じられている。そのため、購入の条件としては出国予定があり、購入できる期間は通常、出発便の1カ月前から前日まで。購入時には渡航を証明する航空券とパスポートが必要となるため、海外への渡航予定がない人は購入することができない。

ジャパニーズ・ウイスキーが屈指の人気

各種ある免税店だが、同じ商品を購入するなら免税範囲の広いデューティーフリーを選ぶ人が多いだろう。訪日外国人観光客が増大する近年、デューティーフリーも売り上げが増加しているのか。また、外国人観光客はどんな商品を購入しているのだろうか。

「2018年の4月から7月期では、昨年比で160%の売上増となっています」とは、成田空港、羽田空港、関西国際空港、そして沖縄那覇空港でANA DUTY FREE SHOPなど16店舗を運営する全日空商事デューティーフリー株式会社で、商品計画を担当する永井聖子氏。

では、販売商品の傾向に何か変化はあるのか。永井氏によれば、以前はまとめ買いされていた炊飯器などの家電需要が減り、最近は化粧品やたばこの需要が高くなっているという。「特に化粧品は、外資ブランドよりも"安全・安心"な日本製品を所望される方が増え、その品質に納得され、再度購入されるリピーターの方もいます」

品質に定評があるといえば、近年、海外の由緒ある品評会で多くの賞を獲得するジャパニーズ・ウイスキーも屈指の人気を誇る。ANA DUTY FREE SHOP各店でも、品薄が続いているという。

「主にサントリーとニッカのウイスキーが人気を博しており、どちらも仕入れ本数に限りがあります。価格の高いサントリーは贈答品として中国、日本双方のビジネスマンに人気があり、ニッカも日本のウイスキーをお求めのお客様から支持を得ています」

紙巻きたばこより加熱式たばこが人気

面白いのがたばこだ。近年の世界的な加熱式たばこブームに伴い、ANA DUTY FREE SHOPでも加熱式たばこが人気であるという。「現在は従来の紙巻きたばこよりも、電子(加熱式)たばこのほうが圧倒的な人気で、売上の上位を占めています」

ANA DUTY FREE SHOPでの購入者は「中国人と日本人で8割を占める」とのことだが、ここでひとつの疑問が沸く。加熱式たばこは本体だけを買っても吸えず、たばこカプセル、ヒートスティック、ネオスティックなどと呼ばれる、いわゆるリフィルが必要だ。また、発売されていない国も多く、例えば中国では代表的な加熱式たばこはいずれも正式には売っていない。

「そのため、本体を1つにリフィルを2つや、リフィルのみ購入される中国のお客様も多くみられます」と、永井氏は言う。すでに本体を持っていて、日本に来るたびにリフィルを買っている人もいるということだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

優良信用スコア持つ米消費者、債務返済に遅れ=バンテ

ビジネス

メルセデス・ベンツ年金信託、保有する日産自株3.8

ワールド

イスラエルがガザの病院攻撃、20人死亡 ロイター契

ワールド

インドの格付け「BBB-」維持、高債務と米関税リス
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 5
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 10
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 9
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 10
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中