コラム

楽天「英語公用語」にツッコミ

2010年07月01日(木)19時10分

 ネット通販大手の楽天が、2012年末までに英語を社内の公用語にする。それを象徴するかのように、三木谷浩史会長兼社長は6月30日、東京で日本人記者相手に英語で会見した。なかなかうまい演出だった。

 世界企業として成長するには全社員に英語が必要というわけだ。既に経営会議や全体の「朝会」は英語で行われているという。1企業の社内ルールにすぎないけれど、日本人と英語をめぐる論争を刺激することは間違いない。

 楽天の英語公用語化は、ちょっと思いつくだけでもツッコミどころ満載だ。

 例えば、外国人社員が入った会議で英語を使うのなら分かるが、日本人だけの会議やメールで英語を強制することにどんな意味があるのか。英語力を特に必要としない分野で優秀な社員もいるはずだが、そうした社員を追い出したらデメリットのほうが大きいのではないか。英語を社内公用語にしなくても、英語を使える人材を揃えておけば、デメリットなしに同じ効果があるのではないか──。

 三木谷氏は当然こうしたツッコミを想定していたはずだ。それでも「スピード!スピード!スピード!」(楽天の成功コンセプト⑤)の精神でビジネスを展開するには、多少の犠牲はやむを得ないということなのだろう。

 日本人同士での英会話で効率が落ちかねないとの指摘について、彼は「簡単に乗り越えられる。1年後にはまったく問題ないでしょう」と、週刊東洋経済6月19日号のインタビューに答えている。この回答の根拠は不明だが、英語をしゃべれない人が1年でぺらぺらになるとは考えにくい。仮に英語ができない社員が全員辞めれば、確かに効率低下の問題は起きない。あと1~2年すれば、英語がぺらぺらで仕事もできる人材だけが楽天に残っているのだろう。

 ツッコミどころは多いが、英語公用語化の背景にある三木谷氏の問題意識は、楽天社外の人間にとっても重要だと思う。「社会のトップ層が英語をしゃべれないのは世界中でたぶん日本だけ」(同インタビュー)という危機感は、もっと広く共有されてもいい。

 ちなみに当編集部の公用語は日本語だ。英語ネイティブのスタッフも全員が日本語を話せる。もちろん海外とのやりとりには英語が必要だし、英文記事が読めなければ仕事にならない。だが日本人だけの企画会議を英語でやるなんて、想像しただけでぞっとする。

──編集部・山際博士


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