ワグネルはアフリカからウクライナへ向かうか──「再編」が本格化
さらにワグネルはアフリカで合法・非合法のビジネスを展開し、大きな利益を得ているとみられる。例えばスーダンでは金鉱山などの開発に関わり、違法輸出を行っていたと報告される。中央アフリカ共和国では現地政府との契約により18万ヘクタール以上の森林伐採権を確保するといった「ビジネス」に手を出していることが判明している。
だからこそ、アフリカ大陸におけるワグネルは、今年6月の反乱後も、多少の移動はあっても基本的に人員をほとんど減らさなかった。ワグネルがロシア政府直属になったとしても、プーチンがこうした利益を考えれば、大規模な兵員をアフリカから引き抜くリスクが大きいと判断しても不思議ではない。
「黒いロシア人」は増えるか
ウクライナに兵力を集めたい。しかし、アフリカの利益も捨てがたい。
ロシア政府やトロシェフ新司令官がこのジレンマを乗り越えようとする時、「アフリカ人のリクルート」を選択する可能性がある。
ワグネルはウクライナ侵攻後、ロシア国内でも受刑者や外国人をリクルートして戦線に投入しており、そのなかには留学生をはじめとするアフリカ人も多く含まれている。
一方、ワグネルはアフリカ大陸でも兵員を調達してきた。例えば中央アフリカでは現地民兵がリクルートされ、ワグネルの基地などで訓練されたうえで、反体制派の掃討などで戦線をともにしている。
こうした兵員は現地でしばしば「黒いロシア人」とも呼ばれる。
アフリカの貧困層が外国に傭兵としてリクルートされ、海外で活動することは珍しくない。
1990年代に深刻な内戦に陥った経験のある西アフリカのシエラレオネでは、内戦終結後に社会復帰が難しかった元兵士(元子ども兵を含む)約3000人がアメリカやイギリスの民間軍事企業に採用され、対テロ戦争の激化していたイラクで2009年から活動したことが判明している。
最近では、数千人のスーダン人傭兵がUAE(アラブ首長国連邦)に雇用されてリビアで戦闘に従事している事例も報告されている。
こうした事例に鑑みれば、プリゴジン時代よりロシア政府・軍と密接な関係になると想定される新体制のワグネルが、アフリカ人民兵をこれまでより積極的にリクルートすることで、アフリカにおける「ビジネス」を減らさないままウクライナに兵員を増派しようとしても不思議ではない。
その場合、ウクライナでの戦争はこれまで以上にグローバルなものになるといえるだろう。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。
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