最新記事
兵器

ロシア「最新鋭」戦闘機が撃墜された瞬間の映像...撃ち落としたのは、なんと自国の防空システムの「ミス」

Russian Su-35 Fighter Jet Downed by Own Air Defense, Video Appears to Show

2023年10月6日(金)18時30分
エリー・クック
ロシア軍のSu-35戦闘機

ロシア軍のSu-35戦闘機(2017年7月) Sergei Karpukhin-Reuters

<ロシア軍機が自軍のミスで墜落するケースが頻発しており、5機に1機以上は「自損事故」との分析データもある>

ウクライナとの戦争に、最新鋭の戦闘機を投入しているロシアだが、そのご自慢の戦闘機が撃墜されてしまう映像が撮影された。しかも、そのSu-35戦闘機を撃墜したのは、ロシア自身の防空システムだったという。実際、ロシア軍ではこうした「ミス」による自損事故が繰り返し起きている。

■【動画】まさか自国の防空システムに撃たれるとは...ロシア最新鋭Su-35戦闘機が撃墜される瞬間

映像が撮影されたのは、ロシア占領下のウクライナ南部ザポロジエ州トクマク周辺だという。ロシアとウクライナの軍事ブロガーたちや、公開情報分析を行うソーシャルメディアアカウントは9月29日、ロシアの防空システムがこの地域で自国のマルチロール戦闘機スホーイSu-35を撃墜したと伝えた。

ロシア当局はこの件について発表をしておらず、本誌は映像について独自に検証できていない。ただ本誌が8月に集計・分析したデータによると、ウクライナ侵攻開始後に破壊が確認されているロシアの有人機とヘリコプターのうち、5機に1機以上は「自損事故」で墜落していた。

ロシア軍機が自軍のミスで墜落する確率は際立って高く、不十分な訓練時間、経験豊富なパイロットの不足、絶え間ない戦闘の重圧といった要因があると、欧米のアナリストらは指摘している。

オランダの公開情報分析サイト「Oryx」は、ロシアはウクライナ侵攻開始以来、スホーイSu-35を少なくとも4機失っているとする。

欧米製の戦闘機と戦うため「特別に設計」

ロシアは、4.5世代戦闘機と位置付けるスホーイSu-35を、ウクライナでの戦闘に多用している。Su-35はSu-27戦闘機を近代化したもので、ロシア政府が大半を所有する航空宇宙・防衛企業の統一航空機製造会社(UAC)によれば、「空、陸、海の標的に対する交戦効果を著しく高める」ように設計されている。Su-35の初飛行は2008年2月に行われたという。

元英国軍人のフランク・レドウィッジはスホーイSu-35について、ロッキード・マーチン社製のF-16のような欧米製の戦闘機と戦うために「特別に設計された」と本誌に語っている。

トクマク周辺は、本格的な戦闘開始から数週間でロシア軍に占領され、6月に反転攻勢を開始したウクライナにとっては、ロシア占領下の要衝地メリトポリを奪還するための重要な中継地だ。ウクライナは、メリトポリからアゾフ海沿岸まで突破しようとしている。

米シンクタンクの戦争研究所は9月26日、ロシアがザポロジエとトクマクの戦線の間に、第70連隊と第71連隊を配備している可能性が高いと発表した。

一方、ウクライナ軍の南部前線で指揮を執るオレクサンドル・タルナフスキー将官は9月22日、CNNに対し、同国がトクマクを奪取できれば、大きな突破口を開くことができると語っている。


ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中