グローバルサウスがBRICS加入を目指す3つの理由──先進国で忘れられた70年の暗闘
この状況を打開するため、77カ国の途上国(77カ国グループ)は結束し、国連総会で自由貿易の修正を求めた。南北間の外交戦の結果、先進国は1971年、途上国が求めていた一般特恵関税を受け入れたのである。
一般特恵関税は途上国製品に対する関税を先進国に対するものより低く設定するものだ。それは途上国製品の価格競争力を高めるが、厳密にいえば自由貿易のルールに反する。
それでも先進国が受け入れざるを得なかったこと自体、途上国の抵抗の強さを示した。
標準化圧力のクライマックス
こうした標準化圧力は冷戦終結後の1990年代、それまで以上に加速した。イデオロギー対立が終結し、アメリカが唯一の超大国になったことで、市場経済や自由貿易が「グローバルスタンダード」と扱われるようになったためだ。
しかし、グローバル化は大企業の税制優遇や非正規雇用の増加により、アメリカにさえ格差の拡大といった副作用ももたらした。
さらに先進国の一角を占める日本でも、アメリカ式企業経営(例えば株主資本主義など)の浸透に対する暗黙の拒絶反応は、経済界を中心に根強くある。
とすると、あらゆる経済活動の標準化が進むことに対して、より外圧に弱い立場の途上国で生まれる拒絶は推して測るべしである。
グローバルスタンダードという名の暗黙の圧力は、人権、民主主義などに関してもほぼ同じだ。
その内容の良し悪しにかかわらず、優位な立場の者が頭ごなしに言えば、拒絶反応を招くことは不思議でない。言う側である先進国がしばしば自分達を例外扱いにするダブルスタンダードがあるからなおさらだ。
「G7で性的少数者の権利保護が法的に定められていないのは日本だけ」と言われた時の政府・自民党や保守派の反発は、人権分野で欧米から批判された場合の途上国の反応と基本的に同じである。
こうした拒絶は、形こそ違えども企業買収などでも見受けられる。Twitterをイーロン・マスク氏が買収して以来、社員の脱出が進んだのは、社内文化をほぼ全否定する新たな経営者への拒絶反応の現れであり、能力などに自信のある人ほど出て行ったとみてよいだろう。
この観点からみれば、標準化の圧力にさらされる途上国・新興国のなかでも力のある国ほど先進国と距離を置こうとするのは当然ともいえる。
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