コラム

右翼はなぜ頑なにマスクを拒絶するのか、その思想性

2020年12月18日(金)13時15分

万能感が強く、「他人が知らないことを自分は知っている」と思いたがる傾向が強ければ、都合のいい情報を寄せ集め、「コロナなどたいした問題ではない」と過小評価したがったり、マスク着用を当たり前と捉える専門家や世の中の大半の人を嘲笑したがったり、果ては「ビル・ゲイツがワクチン開発に多額の資金を出しているのは世界中の人間にマイクロチップを埋め込むため」といった陰謀論を展開してコロナ対策を貶めようとしたりすることは、不思議ではない。

力への信仰

もちろん、マスクやロックダウンを拒絶する人の全てが、ここでいう右翼に当たるとは限らない。マスクを拒否しながらも外国人や社会的少数者に寛容な人もあるかもしれない(ちょっと想像しにくいが)。

とはいえ、コロナ対策の強化に反対する論理と思想が、本人の意識とは関係なく、右翼のそれと親和性があることも疑えない。そこには、他人を見下したがる、いわば力への信仰があるといえる。

コロナ禍は長距離通勤や押印主義といった社会習慣を改めて浮き彫りにしたが、個人の内面に関しても同じことがいえるのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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