コラム

習近平は中国に何を提案したか──中国の新アフリカ戦略の3つのポイント

2018年09月10日(月)17時30分

中国・アフリカ協力フォーラム出席者と習近平国家主席(2018.9.4)REUTERS


• 北京で第7回中国・アフリカ協力フォーラムが開催された

• 習近平国家主席はアフリカ各国に、「一帯一路」構想とアフリカ開発を結び付けること、アフリカからの輸入を増やすこと、安全保障協力を増やすこと、を提案した

• これらは中国主導の経済圏にアフリカを引き込む意志を、これまでになく鮮明に打ち出している


中国のアフリカ政策のプラットフォームである中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)で、習近平国家主席は中国主導の経済圏にアフリカを引き込む意志を、これまでになく鮮明に打ち出した。中国のアフリカ進出は、新たなステージに入る。

資金協力の頭打ち

9月3日、北京で2日間の予定でFOCACが開催された。2000年から定期的に開催されてきたFOCACは、今回で第7回目となる。

今回、習近平国家主席は3日の開会式の基調演説で、3年間で600億ドルの資金協力を約束した。これは2015年の第6回会合で提示された金額と同じ額である。

この背景には、貿易戦争の影響などによって中国経済に負荷がかかっていることもあるだろうが、日本との関係も無視できない。

スクリーンショット 2018-09-10 14.04.01.png

日本はアフリカをめぐり2000年代から中国と「援助競争」を繰り広げてきたが、援助額がエスカレートする負担から、2010年代半ばにアフリカ向け援助額の増加にブレーキをかけ、さらに昨年には日中共同プロジェクトの実施に合意した。つまり、それまでほど日本と援助競争をしなければならない状況でもなくなったことが、増え続けていた中国の援助額の高止まりにつながったとみられる。

第7回FOCACの3つのポイント

ただし、とかく資金協力の金額が注目されやすいものの、それに劣らず重要なのは中国のアフリカ戦略の内容である。FOCACは中国のアフリカ進出のプラットフォームで、ここで中国の歴代国家主席は援助や協力の内容を示し、アフリカ政策の方針を明らかにしてきた。

今回の習氏の基調演説を過去6回の会合に出席した中国側の責任者の基調演説と比べてみると、中国主導の経済圏にアフリカを引き込む意志が、これまでより鮮明になったといえる。それは主に、以下の3つのポイントから読み取れる。


• 「一帯一路」構想と結びつけたアフリカ支援

• 貿易関係の深化

• 安全保障協力の本格化

これらについて以下でみていこう。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ビジネス

最近の急速なウォン安・円安、深刻な懸念共有=日韓対

ワールド

米戦略石油備蓄の第1弾、来週末までに供給 8600

ビジネス

日立とGEベルノバ、東南アジアで小型モジュール炉導
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 3
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈祷」を中国がミーム化...パロディ動画が拡散中
  • 4
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 5
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 6
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 7
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 8
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story