コラム

トランプ大統領のFRBへの政治圧力・利下げ要求は株式市場のリスクか?

2025年09月04日(木)06時00分

正当な理由や権限を通じてFRBに介入する限りは...

実際に、5月以降の米国の雇用者数の伸びが失速していることが判明している。結果的に、FRBの利下げ判断は遅いので、早期利下げを主張するトランプ大統領らの主張が妥当であった可能性が高い、と筆者は考えている。つまり、FRBが政治的な圧力を受けるのは妥当であった、ということになる。

もっとも、FRBをはじめ中央銀行は政治的に完全に独立な存在ではないが、その時々の中央銀行の政策判断が政治意向に影響され続ければ大きな問題になる。安倍政権は黒田日銀の政策判断を終始尊重しており、中央銀行の判断の独立性は尊重されていたが、トランプ大統領らの発言は政策判断の独立性を侵害する領域に入っている。

今後、トランプ政権の介入が行き過ぎれば、FRBの政策判断がゆがめられて、行き過ぎたインフレやドルの下落そして長期金利の上昇や株安をもたらしかねない。一方で、トランプ政権が正当な理由や権限を通じてFRBに介入する限りは大きな問題にはならない。

ベッセント財務長官はこの点を理解している、と筆者はみなしており、経済メディアが報じるような大きなリスクにならないと現時点では予想している。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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