コラム

トランプの関税発言で一喜一憂する株式市場の行方...米減税法案の「影響」を読む

2025年05月27日(火)19時10分

お手本はドイツ、日本に必要な2つの施策

石破内閣は、①にはとりあえず取り組んでいるが「覇権国との交渉」において日本が成功するハードルは相当高いのが実情だろう。このため、拡張財政に転じたドイツのように、②つまり経済成長を高めるマクロ安定化政策が必要になる。

ただ、緊縮志向の経済官僚と彼らに従順な経済メディアの印象操作に直面した石破内閣を支える政治家は、コメ価格上昇への対応に追われて、最も重要な点を理解できないでいる。

日本株市場は、米国株にほぼ連動しながら2025年から上下している(5月23日時点の年初来リターンは、S&P500-1.3%、TOPIX-1.8%とほぼ同様)。近づく参議院選挙を経て政治情勢が大きく動かない限り、こうした状況は変わらないだろう。やはり、日本株市場には引き続き期待できない、と筆者は慎重に考えている。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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