和田アキ子主演、低予算でご都合主義なのに『裸足のブルージン』はなぜ面白かったのか?

ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN
<理由はよく分からない。藤田敏八監督の作品なら、『赤い鳥逃げた?』か『八月の濡れた砂』を取り上げるべきかもしれない。だから、もう一度観て確かめたい。可能ならば>
『裸足のブルージン』の公開は1975年。西河克己が監督した『絶唱』とのカップリング上映だったようだが、僕は『絶唱』を観ていない。当時は封切りで観ることはまずなかったから、例によって池袋か高田馬場の名画座(二番館か三番館)の藤田敏八監督特集などで観たのだろう。
観たのはそのとき1回だけ。本来なら原稿を書く前に再見すべきだ。ところがDVDは出ていないようだ。配信ももちろんない。
でも書きたい。思い込みや誤読や無自覚な記憶の編纂があるかもしれないが、それも含めて映画体験なのだ。だから以下は、自分の記憶とネットで拾った情報の断片の合作だ。
主演は和田アキ子。つまり山口百恵が主演した『絶唱』とのカップリングが示すように、ホリプロの製作だ。要するにアイドル映画。だから他の出演者たちも、この時期のホリプロ所属のタレントが多い。
でももちろん、ホリプロ一色では映画にならない。脇を固めるのは原田芳雄、山本伸吾、中原早苗、テレサ野田、伊藤雄之助、大門正明など藤田敏八の映画の常連俳優が多い。
藤田監督の作品なら、本来は『赤い鳥逃げた?』か『八月の濡れた砂』を取り上げるべきかもしれない。評価も知名度も本作よりはるかに高い。でも僕はこの2作品が苦手だ。嫌い、ではない。苦手という言葉がぴったりくる。これ見よがしがどうしても鼻につくのだ。
しかし本作には、その意味で気負いがない。どうせアイドル映画だと力が抜けている。だいたいブルージンってなんだ。ポスターのメインビジュアルはブルーのジーンズをはいた和田アキ子。ジンじゃなくてジーンです、と誰も指摘しなかったのか。でもその緩さがいい。
舞台は地方都市にあるドライブイン。オーナー・とし江(和田)の恋人だったプロボクサーの風間は、今は亡くなっている。そのドライブインが、地権者だか金貸しだったか、伊藤雄之助演じるボクシングジムの会長の企みによって売却されそうになる。
そこへ風間の古い友人だった山本(原田芳雄)がやって来る。とし江の弟の久(山本伸吾)は2階の床に穴を開けて、真下にいる会長のウイスキーのグラスに青酸カリを垂らして殺害しようとする。そこにもう1人ボクサーがやって来て、泥酔した山本と殴り合いを始めそうになる。
ロケはほぼドライブインの中と周囲だけ。時間軸もほぼ1日。明らかに低予算映画だ。
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