コラム

騒音おばさんを映画化した『ミセス・ノイズィ』はまるで現代版『羅生門』

2020年12月10日(木)12時20分

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©「ミセス・ノイズィ」製作委員会

主人公は隣の主婦をモデルにした小説を書くことで反撃に出る。そのタイトルは「ミセス・ノイズィ」。やがて些細な行き違いや誤解が、少しずつ大きな亀裂になってゆく。

ここまでの僕の説明は、ほぼ最初の3分の1。その後の展開は全く予想を超えていた。提起される問題は「SNS炎上」や「メディアリンチ」。でもそれにとどまらない。観ながら実感する。映像は一面しか伝えない。アングルが変われば事実は変わる。つまりこれは現代版『羅生門』だ。これ以上は説明できない。あとは劇場で体験してほしい。

『ミセス・ノイズィ』(2020年)
©「ミセス・ノイズィ」製作委員会
監督/天野千尋
出演/篠原ゆき子、大高洋子、長尾卓磨、新津ちせ

<2020年12月8日号掲載>

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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