コラム

首相官邸の心臓部にまで魔の手が...中国ハッカー集団が歴代首相側近の携帯をハッキングしていた!

2026年01月28日(水)16時25分
中国ハッカーのイメージ

中国は他国を攻撃するハッカーを支援している FOTOGRIN-shutterstock

<標的にされた首相は3人に及ぶ。世界中で進む、国家規模のデータ侵害の全貌とは>

[ロンドン発]2021~24年にかけ、中国の国家支援ハッカーが英国のボリス・ジョンソン首相、リズ・トラス首相、リシ・スナク首相(いずれも当時、保守党)の側近数人の携帯電話を標的にしていたことが分かった。英紙デーリー・テレグラフ(1月27日付)が報じた。

【動画】中国ハッカー集団が西側諸国に戦争を仕掛ける理由

同紙によると、ハッキング対象に首相自身の携帯電話が含まれていたかどうかは不明だが「ハッキングは首相官邸の中心部に及んだ」という。「ソルト・タイフーン」と呼ばれる中国のハッカー集団が暗躍、キア・スターマー首相と上級スタッフも狙われていた恐れがある。


中国のスパイが英政府高官のテキストメッセージを読んだり通話を盗聴したりした疑いが持たれている。通話を盗聴できなかったとしても、ハッカーはメタデータにアクセスし、政府高官の連絡先や連絡頻度、おおよその所在地を示す位置情報データを入手できた可能性がある。

攻撃の目的は単なる破壊ではなく、長期的な諜報活動

ソルト・タイフーンは中国国家安全部との関連が極めて強いとされる極めて洗練された国家支援型のハッカー集団。攻撃の目的は単なる破壊ではなく、長期的な諜報活動だ。標的のシステムにもともと備わっている正規のツールを悪用する「環境寄生型」の手法を使う。

従来のウイルス対策ソフトでは検知が非常に困難。24〜25年にベライゾン、AT&T、T-モバイルなど米通信大手が攻撃され、数千万人のメタデータや位置情報が流出したとされる。米連邦捜査局(FBI)によると、80カ国で少なくとも200社の企業がハッキングされた。

FBIなど当局が裁判所の許可を得て行う「合法的な通信傍受システム」自体にハッカーがアクセスし、米当局が誰を監視しているかを中国側が把握していた疑いさえ持たれている。米国内の陸軍州兵ネットワークも9カ月以上にわたって侵害された。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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