コラム

トランプ「関税戦争」を受け、大量の「金塊」がロンドンから流出...「金の大移動」はなぜ起きた?

2025年02月01日(土)18時20分

世界中のおカネがニューヨークを目指す

FT紙は翌日の1月30日付でニューヨーク商品取引所のデータをもとに金塊の備蓄は850億ドル相当、946トン近くに達したと報じた。米長期金利の上昇、ドル高、株高で世界中のおカネがニューヨークを目指している。そして今、金塊もニューヨークに集まり始めた。

トランプ氏は仮想通貨について「よく知らない」と言いながら独自の仮想通貨「TRUMP(トランプ)」を発行。米証券取引委員会(SEC)が昨年、仮想通貨ビットコインの現物ETF(上場投資信託)を承認し、第2次トランプ政権の登場でビットコインは史上最高値圏に突入した。

トランプ氏は「利下げ」「ドル安」をたびたび口にするが、ロシアのウクライナ全面侵攻や中国の軍事的な台頭など地政学的な懸念と米国のドル高、トランプ関税は米国1強の状況を作り出し、「トランプバブル」を醸成している。

資金が流出するライバルの中国は苦しくなる。しかし、その他の先進国、新興・途上国も苦境に追い込まれるのは必至だ。ウィンウィンでなければ世界経済は回らない。そして米国の貿易赤字、財政赤字は膨らんでいく。その代償はいずれ米国に跳ね返ってくるだろう。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

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