コラム

ポストコロナの韓国版ニューディールは成功するか?

2021年01月04日(月)16時30分

文大統領の在任期間が約1年5カ月(任期は2022年5月10日まで)しか残っていないことも、地域均衡ニューディールを含む韓国版ニューディールの成功が疑われる理由である。現政権の政策が次の政権まで継続されるという保証はないからだ。

では、韓国政府が推進している地域ニューディール事業を成功させるためには何が必要だろうか。専門家の多くは地方自治体が事業を主導する必要性を強調している。中央政府が主導する事業に地方自治体が参加する形ではなく、地方自治体が主導的に地域の特性に合う事業を企画し、必要な部分を中央政府が支援する必要があるという主張だ。

また、民間投資を活性化させるためには、規制改革を先に実現し、企業が儲かる環境を構築する必要もある。

さらに、地域ニューディール事業は地域間の競争よりも、地域間の協力によりシナジー効果が得られるようにサポートすることが重要である。

そのためには、首都圏と地方間における公共交通機関を含む交通網の新設や整備のみならず、地域間で人・モノ・情報の活発な交流が行われるように首都圏以外の地方自治体間の交通網も拡充・整備すべきである。韓国政府が推進している地域ニューディール事業が地域の均衡発展や格差解消に繋がることを強く願うところである。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員、亜細亜大学特任准教授を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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