コラム

韓国政府、新型コロナウイルス対策で手厚い弱者救済策

2020年03月06日(金)11時15分

また韓国政府は3月4日、上記の16兆ウォンの景気対策とは別に、新型コロナウイルスの感染拡大による被害を最小化するための防疫強化と中小企業支援のために11.7兆ウォン規模の追加補正予算案を編成した。予算は感染病の検疫と診断、防疫体制の高度化、被害を受けた中小企業への支援、消費促進や雇用安定支援などに使われる予定である。

韓国政府が20兆ウォンに達する景気対策と11.7兆ウォンの追加補正予算案を合わせて31.7兆ウォンの財源を投入すると発表した理由は、2003年や2012年に流行したサーズ(SARS)やマーズ(MARS)に比べて今回の新型コロナウイルスの感染拡大が韓国経済により大きな被害を与える可能性があると判断したからである。

韓国政府のこのような景気対策が新型コロナウイルスにより被害を受けた自営業者や中小企業、そしてすべての国民に勇気や希望を与え、苦難を乗り越える力に繋がることを心から願うところである。

※当記事は、「曲がり角の韓国経済 第51回 新型コロナ、韓国政府の景気対策が急務、全国民に勇気や希望を与える政策を」東洋経済日報2020年3月6日を加筆修正したものです。

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2020年3月10日号(3月3日発売)は「緊急特集:新型肺炎 何を恐れるべきか」特集。中国の教訓と感染症の歴史から学ぶこと――。ノーベル文学賞候補作家・閻連科による特別寄稿「この厄災を『記憶する人』であれ」も収録。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。近著に『韓国における社会政策のあり方』(旬報社)がある

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