コラム

政府による物価対策の給付金は「高齢者優遇」で不公平──批判は正しいのか?

2023年04月12日(水)18時57分

資産も把握した上での線引きが不可能

住民税非課税世帯のうち高齢者世帯が占める割合は6割超だが、生活保護受給世帯のうち高齢者世帯が占める割合も5割を超えており、両者に著しい乖離は生じていない。住民税非課税世帯で線引きすることによって、許容できないほどの不公平が生じるわけではないだろう。

とはいえ、生活が苦しい人を確実に支援するには、収入に加え、資産についても把握した上で線引きするのが望ましい。ところが行政のデジタル化が著しく遅れる日本では、現時点でそうした給付を行うのは不可能である。

一部の論者や政府関係者は、マイナンバーカードが普及していないことが行政デジタル化の遅れの主要因と指摘しているが、それは正しい認識ではない。資産や収入の捕捉ができないのは、単に政府や自治体のシステム化が遅れているからであって、カードの普及とは無関係である。

この問題は、コロナの給付金が議論された時から続いており、一向に改善される気配がない。このままでは給付のたびに同じ問題が指摘され続けることだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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