コラム

日本に迫る「極度の人手不足」問題...「低賃金」を放置する業界が直面するリスクとは

2023年03月07日(火)20時17分

雇用のミスマッチを軽視してきた産業界

これまでの人手不足は、高齢化に伴う若年層人口の減少など、主に人口動態の面から理解されるケースが多かった。低賃金な業種を中心に、人材がいるにもかかわらず求人に応募してこないという、いわゆる雇用のミスマッチも指摘されてはいたが、産業界はこの問題をあまり深刻に捉えていたとは言い難いだろう。

だがコロナをきっかけに、自らのキャリアを再構築する労働者が増えたことで、雇用のミスマッチはもはや構造的・恒久的な課題となった。低賃金が常態化している業種の場合、労働環境の抜本的な改善を実施しない限り、極度の人手不足が継続するリスクを全面的に引き受けることになる。

経済全体にも同じことが言える。賃上げやITによる省力化を進められない場合、生産能力が不足し、経済全体に供給制限がかかってしまう可能性が否定できない。コロナ後の景気回復期待が大きくても、その需要を取り込めなければ経済は成長しない。今、発生している人手不足について、従来の延長線上だけで理解していると、思わぬ壁に直面するだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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