コラム

法人減税が「内部留保」にしかならなかった日本、税制改正には大いに期待できる

2022年06月01日(水)17時17分

法人税率を単純に引き上げただけでは、大企業の内部留保の増加率が鈍るだけで、経済全体への波及効果が少ない。設備投資減税を組み合わせることに加え、既得権益化した一部の租特の見直しを同時並行で進めることで、大きな効果が発揮されるだろう。

仮に法人税率を安倍政権の発足時点の水準に戻しただけでも、1兆円以上の税収増が見込めるほか、大企業を対象とした租特の見直しを実施すれば、さらに1兆円の財源が捻出できる可能性がある。しかも、非効率な税制の見直しがセットになっていれば、税率の引き上げによる経済への逆風も最小限に抑えられる。

設備投資に積極的な企業や中小零細企業の税率は低く抑える一方、現状維持を続ける大企業については税率を高めに誘導し、産業構造の転換を促すことが重要である。日本全体の生産力を拡大することは、このところ深刻化しているインフレに対する根本的な解決策であり、最終的には業績拡大を通じて税収を増やす効果も期待できる。大企業からは反発の声が出るかもしれないが、検討する価値は十分にあるはずだ。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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