コラム

量的緩和に財政出動にMMTまで...そんな単純な手法で日本経済が良くなるはずがない

2022年04月15日(金)17時28分

日本では、非正規社員と正社員の待遇格差、男女間の賃金・昇進格差、劣悪な子育て環境や長時間残業、教育制度の不備やIT化の遅れ、重層的な下請け構造と中小企業の劣悪な経営環境の是正、効率の悪い流通システムの改善など、数え切れないほどのミクロ的課題が指摘されてきた。だが、こうした指摘は、一時的に社会の注目を集めることはあっても、その後、社会は関心を失ってしまい、どれも十分に解決したとは言い難い状況にある。

一連の問題を放置したまま、経済を最適化することは不可能であり、マクロ政策が十分に機能しないという形で社会に実害をもたらす。アベノミクスのスタート直前も、多くの専門家からミクロ的な課題解決を伴わなければ量的緩和策は効果を発揮しないという指摘があったものの、「これしかない!」といった大きな声にかき消され、顧みられることはなかった。

今、発生している物価上昇や円安はまさに構造的な要因であり、単純なマクロ経済政策だけでは到底、太刀打ちできない。今こそ、初心に立ち返った地道な政策努力が必要である。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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