経営者のスキルマトリックスが、日本企業にとっては特に有意義な理由
一方、何千社もある上場企業の大半はごく普通の企業であり、こうした企業の経営に求められる資質は、経営学の知見や過去の経験などからほぼ確立している。スキルマトリックスで定義されている基本的な資質項目を持ち、加えてITやグローバル化など時代に即した能力を備えていれば相応の成果を出せるはずだ。
諸外国では大学院でMBA(経営学修士号)を取得した人物をトップに据えるケースも多いが、それも同じ理由である。MBAホルダーの経営者は教科書的なことしかできないとの批判があるが、99%の企業に求められているのは教科書的マネジメントである。MBAを取得したからといって天才経営者になれるわけではないが、必要最小限のスキルは獲得できる。
特に日本の場合、年功序列で従業員から昇進する役員が多く、プロ経営者としての資質に欠け、教科書的マネジメントすらままならないケースも多い。スキルマトリックスが定着すれば、専門性を重視せざるを得ないので、なれ合い人事を抑制する効果をもたらすだろう。

アマゾンに飛びます
2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
消費者への支援はもう無理? トランプ関税で、大幅な方針転換を迫られた「景気対策」の行方 2025.04.24
トランプは関税発動とインフレ退治のどちらを優先? ついに見えてきた「トランプ経済」の中身 2025.04.03