コラム

「バイデン大統領」の誕生で、最も得する日本企業はどこ?

2020年11月18日(水)12時08分

トランプ政権は環境問題に消極的で、今後も石油を使い続ける方針を示していた。欧州はトランプ氏が環境問題に消極的なことを利用し、脱炭素を武器にアメリカが世界に張り巡らせてきた石油利権を破壊しようと画策していたが、アメリカが本格的な脱炭素に乗り出せば、そうは問屋が卸さなくなる。

欧州各国は環境問題に積極的なバイデン政権の誕生を表面的には大歓迎しているが、本音では舌打ちしているかもしれない。

菅義偉首相は就任早々、安倍政権の方針を大転換し、2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにすると表明した。バイデン政権の誕生を事前に予想したものなのかはともかく、結果的にはタイミングのよい決断となった。

石油元売り各社など一部のエネルギー業界にとっては逆風となるものの、再生可能エネルギー関連の業界が伸びるのはほぼ確実といってよい。アメリカを含む全世界で電気自動車(EV)シフトが進むので、日本電産などEV関連に強い部品メーカーの業績にも弾みがつくだろう。

<本誌2020年11月24日号掲載>

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2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

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