コラム

消費税10%じゃまだ足りない、次の増税はグリーンな消費税?

2020年01月08日(水)17時41分

国際社会では、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて、企業や消費者に応分の負担を求める「カーボンプライシング」の導入が進められており、炭素税は排出量取引制度と並んで、カーボンプライシングを実現する有力な手段と位置付けられている。

炭素税は、CO2の排出に関わる事業者から徴収する税金だが、製品やサービス価格に転嫁される仕組みなので、実際に税金を負担するのは一般消費者だ。炭素税が導入されれば、世の中に出回る多くの製品やサービスが課税対象となるため、税の名称は違っても実質的には消費税に近い役割を果たすことになる。

地球温暖化対策の税金ということであれば、正面から反対しにくく、しかも、消費増税とほぼ同じ効果を得ることができるので財政当局にとっては好都合だ。

くしくも、炭素税を管轄する環境省のトップには、今後の政局のカギを握る小泉進次郎氏が就任している。炭素税の導入には、製鉄、石油、電力などの業界が強く反発しているが、これらの業界を管轄する経済産業省は、現在、官邸の主導権を握る立場にある。場合によっては、炭素税の扱いが政局となる可能性も十分にあり得るだろう。

<2019年12月31日&2020年1月7日合併号掲載>

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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