コラム

金利上昇で住宅ローンが危ない! 収支ギリギリの人は要注意

2018年10月16日(火)13時30分

年収1000万円以下の人はもはや首都圏では新築マンションを買えない?

新規に住宅の購入を検討している人にとっても、金利上昇は冬の時代の到来を意味する。金利が上昇するということは物価も上がるということであり、不動産市場の崩壊がない限り、住宅価格はさらに上がりやすくなる。これに加えて、金利が上昇した分、返済総額も増えるので、消費者の負担はさらに大きくなってしまう。

不動産経済研究所の調査によると、2018年上半期における新築マンション(首都圏)平均価格は5962万円だった。

2010年の価格は4716万円だったので8年間で何と1200万円も上昇したことになる。2010年に30年の固定金利で4716万円のマンションを買った時の返済総額(元本+利子)は約7200万円、現時点で5962万円のマンションを買った時の返済総額は7700万円である。マンション価格が1200万円も上がっているのに、返済総額があまり増えていないのは超低金利の効果である。

もしマンション価格が今後も下がらず、金利だけが上昇した場合、返済総額が一気に増えるのは目に見えている。マンション価格が5962万円のままで、金利だけが2010年の水準まで上昇した時の返済総額は何と9200万円にもなる。世帯収入が1000万円以下の世帯にとって、首都圏で新築マンションを購入することは、もはや非現実的な領域に入ってきている。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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