コラム

大幅増の防衛費に財務省が出さない「ヘソクリ」あり

2022年12月22日(木)10時45分

以上の点について、僕はこう思う。仮に日本が中国に「巻かれ」ても、既に退職している自分は何とかやっていけるだろう。でも、中国の「巻き方」はアメリカよりさらに強烈だ。彼らは日本社会の津々浦々に入ってきて中国語の使用を強制し、日本企業の技術、そして幹部ポストを奪っていく。政党も総取り換えの憂き目に遭うだろう。やはり日米同盟と、自前の防衛力のベストミックスで、抑止力を備えることは絶対必要なのだ。

そして社会保障や震災復興には国債をあれだけ発行した財務省が、同じくらい重要な防衛費には、なぜ無い袖は振れないと言うのか? 麻生副首相兼財務相という重しがいなくなったからか? 今、税収は伸びていて、2021年度は20年度を6兆円強上回っている。これまでの政権が積み増した経済対策予算で、繰り越されている分は20兆円を超える。今のインフレで税収はさらに増えていくだろう。そして文部科学省などその他省庁の予算には、防衛技術研究に回せるものもある。安全保障という一大事に、財務省はヘソクリを出してほしい。

でないと「岸田首相の指導力」に世論は収れんし、問題が矮小化されてしまう。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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