コラム

「米中冷戦」時代はこうして生き延びよ

2020年08月18日(火)15時39分

経済については、中国で生産して海外に輸出するやり方はもうやめて(中国は有事にマスクの輸出を止めるような国だ)、先端技術の移出も米欧韓台と足並みをそろえて規制を敷くべきだ。そしてアメリカの対中制裁が連発されるなかで、制裁対象の中国企業と提携関係にある日本企業は、自分もアメリカに制裁されないよう気を付ける。

安全保障面での日本にとっての試練は、尖閣諸島、台湾の防衛だ。双方について日米(と台湾)は事前によく擦り合わせて、互いにできることとできないことをきちんと腑分けし、事が起きてから信頼関係が崩壊するのを予防しておかなければいけない。

中国はその硬直した官僚主義で早晩行き詰まる気がしてならないが、米中冷戦、いや米中対決は日本にとって当面、米ソ冷戦とは全く異なるリアルな危険を提示する。不要な対立は避けながらも兜かぶとの緒はしっかり締めてかからないといけないだろう。

<2020年8月25日号掲載>

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2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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