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コリン・ジョイス Edge of Europe
さらばニューヨーク、いざ故郷イギリスの探索へ
「実際に去る前から去るな」――この気の利いた言葉は、友人のルークによる名言。意味が分かるまで時間がかかったが、いざ自分がその立場に置かれたときにとても納得がいったので、僕の心に強く残っている。
何かいいことがいつか終わってしまうことを考えると、悲しい気分になるのは当然だ。だからこそ、まだ終わってもいないうちから寂しくなることがある。僕は特にそういうタイプで、最高にハッピーなときでも、それがいつまでも続かないと考えてはブルーになる。
ところがニューヨーク暮らしについては別だった。避けがたい別れの悲しみにおぼれることなく、ニューヨークを去ることができたのだ。それは、ある単純な仕掛けのおかげ。ニューヨークを離れるなんて、計画もしていなかったせいだ。
僕がニューヨークに滞在する理由は、もう尽き果てていた。当初の目的は本を書くためだったが、それはとっくの昔に達成していた。ニューヨークで行ってみたかったありとあらゆる場所は、ほぼ全て探索した(個性あふれる偉大な人々が暮らしたチェルシー・ホテルだけは訪れていないが)。興味をかきたてられたアメリカ各地にも旅行した。
ニューヨークに根を下ろそうと考えたことは一度もなかったが、特にここから出たいとも思っていなかった。
■イギリスも僕も大きく変わった
だから、僕が故郷のイギリスに休暇のつもりで戻り、そのままイギリスに腰を落ち着けたくなったのは、少しばかり妙な話だが、なるべくしてなったことのような気もする。
きっかけになったのは、深刻ではないものの健康を害し、回復までに時間がかかったことだ。ニューヨークの数々の慈善病院の待合室にいるときほど、故郷イギリスを恋しく思ったことはなかった。
そんななか、2〜3週間の休暇の予定でイギリスに帰ると、しばらく忘れていたある感覚が僕を襲った。将来は外国人特派員になりたい――そもそもそんな夢を僕が抱くきっかけになった「燃えるような好奇心」が、メラメラとよみがえったのだ。
僕と同胞であるはずの彼らイギリス人は、いったい何者なんだ? 何を考えているのだろう、なぜこんなふうに振舞うのだろう? 彼らは次に何をやらかすのか?
そう、イギリスは僕の「故郷」だが、僕はその大きな変わりように驚いた。加えて、僕もどんなに変わったことだろうと思い知らされた。なにしろ、最後にイギリスに1カ月以上滞在したのは、もう15年以上前のことなのだ。
時が来たようだ。ニューヨークを去るという時ではなく、イギリスという奇妙な新しい国に足を踏み入れ、探検する時が。
(お知らせ:次回からコリン・ジョイスの新ブログ「A Stranger in England」がスタートします。十数年ぶりにイングランドに帰国した著者が、今やまるで外国のように思える故郷イギリス社会を探索します。お楽しみに)
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