コラム

「風邪でも会社行け」と説く本が売れる日本、結局サラリーマンの手本は今も島耕作?

2020年04月02日(木)19時00分

彼の基本的な考えは「才能と努力だけで経済的成功が保証されるとしても(実際はされないのだが)、運が不可欠であることに変わりはない。才能豊かで、まじめに働く意欲が高いこと自体が、そもそも大きな幸運によるものなのだから」というものだ。仕事で高く評価され、成功しやすいのは「集中して疲れも見せずに働く能力と意欲のある人」だが、こうした資質は、遺伝と環境の組み合わせから得られるといわれる。人は親も、生まれる環境も選ぶことができないが、家庭や周囲の影響が努力ができる人になっていくか否かの重要な要素になる。つまり、運は個人の資質に大きく影響する要素なのだ。

ビジネス勝者の経験に基づく「指南本」の類いは一様に自分の運の良さを誇るものであり、若者がまねをするなら同様の運を味方に付ける必要がある。つまりここに書かれていることを自分でやってみたところで、必ずしも成功の保証はない......。

<本誌2020年3月3日号掲載>

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2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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