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米EUに迫る「離婚」の足音...脅しを掛け合う両者の「バズーカ砲」とは?
この発言をわずか4日後、トランプ大統領はダボス会議で撤回した。「超大慌てで撤回」と言えるほどの早業だったが、最大の理由の一つは欧州議会の動きだろう。
この時、極右(の一部)から中道右派、中道、中道左派、緑の党系、極左まで一斉に猛反発を起こした。欧州の主権を侵害するものだからだ。左派からはアメリカの「帝国主義」という非難の言葉まで飛び出した。
そして超早業で、あっという間にターンベリー合意の議会承認プロセスの停止を決めてしまった。こちらも発言から4日後だったため、トランプ大統領は「大慌て合戦」に負けたことになるかもしれない(あと1日早く撤回していれば、現状は違ったものになっただろうに)。
それにしても、自国ファーストを標榜し、トランプ大統領のことが大好きなはずの極右(の一部)が、自国の領土でないグリーンランドに「主権問題」で反応するとは。「欧州」の定着がこれほど進んでいることに逆に関心してしまった。
衣類にも「鉄鋼・アルミニウム派生品」が
実を言えば、グリーンランド発言問題の前にもう一つ大きな火種があった。鉄鋼・アルミニウム派生品に対する関税である。
鉄鋼・アルミニウム関連は、一般的に「トランプ関税」と呼ばれているものとは別の法律に依拠してかけられている。ターンベリーに至るまでに、明示的に別物として除外され、累積や割当などの交渉をして合意に至った。
しかし、8月に派生品の関税賦課が実際に始まると、アメリカの税関の現場では、なんとファスナー金具がついた衣類まで「鉄鋼・アルミニウム派生品」扱いになってしまったことが訴訟で判明した。取っ手の部分のみが金具の「木製家具」も同様の疑惑がかけられている。これは冗談ではない。アメリカの税関も輸出入業者も大変な混乱となっている。
最近筆者は、お気に入りのパーカーを着るたびに「今日はあの鉄鋼・アルミニウム派生品を着よう」とつぶやいている。
この事態を受けて、欧州議会のランゲ委員長が態度を硬化させたのは言うまでもない。
「バズーカ砲」で脅しを掛け合う
2月20日、アメリカの連邦最高裁判所が一般的な「トランプ関税」を違憲と判断したのもつかの間、トランプ大統領は即座に、誰もが忘れていたような別の法律を使って一律10%の新たな関税を発動した。
しかも、スペインが公にアメリカのイラン攻撃を非難したために、トランプ大統領は「スペインはひどい」「スペインとのあらゆる貿易を遮断する」と言い出した。不確実性を止めるのはもう不可能なのかもしれない。
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