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米EUに迫る「離婚」の足音...脅しを掛け合う両者の「バズーカ砲」とは?
欧州人民党の貿易担当トップであるヨルゲン・ヴァルボーン議員は、ターンベリーでの合意(+最高裁の判決内容)が、米EU貿易協定として全要素が遵守されていることが確認されるまでは発効しないという案を出した。これなら支持を集められるかもしれないと述べた。
しかしそれには、ワシントンがEUのデジタル規制への脅威を止め、アメリカがEU産鉄鋼製品の関税を引き下げるまで、欧州委員会が両者の協定を実施しないことを認める条項が必要だと説明した。しかし、彼は、ここまで厳しい要求を突きつける用意があるかどうかについては「まだその段階に至っていない」と述べた。
3月11日、トランプ大統領は通商法301条を使った新たな関税をかける調査を開始すると発表した。この301条は「核オプション」とか「バズーカ砲」と言われてきた。
実はEU側にも「バズーカ砲」がある。正式名称は「反威圧措置(Anti-Coercion Instrument: ACI)」で、特に左派の間でトランプ政権に使うべきだという意見が、ずっとくすぶり続けている。もともとは中国(やロシア)を念頭において2023年につくられた。
グリーンランド発言問題の際は、対米にこのバズーカ砲の使用が叫ばれた。エマニュエル・マクロン仏大統領は、各国首脳に使用の賛同を働きかけたという。発言撤回で一応は収まったものの、今でも背後の脅しのようになっている。
トランプ大統領は301条について「日本やEUを含む16の主要な貿易相手に対して調査を開始する」と発表したが、筆者には主にEUとやり合っているように見えてしまう。「バズーカ脅し抗争」である。
なんといっても米EUは、両者で世界のGDP43%を占めるのだ。もちろん日本をはじめ各国には各国の戦略があるが、両者のやり取りや取り決めが、世界の貿易のスタンダードや方向性を決めていくと認識している。
将来的にアメリカとヨーロッパが「離婚」する方向性は間違いないと思うが、どう動いていくのかは分からず、先が見えない。「冷戦後」の時代が終わって到来する新しい時代は良いものだろうか、暗いものだろうか。
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