イラン情勢は、日本の「見えざる戦争」...高市・トランプ会談で、日本が直視すべき「9つの現実」
Kazuki Oishi/Sipa USA via Reuters
イラン情勢を、日本ではいまだに「中東の危機」として眺める空気が強い。原油価格が上がる、海運が乱れる、政府が備蓄を放出する──。確かに間違ってはいない。だがそれだけではこの危機の本質は見えてこない。
いま起きているのは、日本のエネルギー、安全保障、企業活動、対米同盟のあり方が同時に試される事態である。イラン情勢は、日本にとって決して「遠い戦争」ではない。
そのことを理解するには、まず政治や外交の言説ではなく、日本の脆弱性を示す数字から見なければならない。日本の原油輸入の90%以上は中東に依存している。UAEとサウジアラビアがそれぞれ約40%を占め、2019年の対イラン制裁以降、イランからの直接輸入は行っていないものの、実際には日本の石油の大半がイラン隣接海域を通過している。
さらに、日本の原油の約72%はホルムズ海峡を通る。気候変動問題の研究グループ「Zero Carbon Analytics」は、日本を「ホルムズ混乱リスクに最もさらされた主要経済国」と位置づけている。
問題は原油だけではない。LNG(液化天然ガス)でも、日本はカタールやUAEから6~14%を調達している。カタール・エナジーがフォース・マジュール(不測の外的事由)を宣言したことで、日本の直接契約分にかかわらず、世界のスポット市場から供給が消え、アジアのLNG価格は高騰している。
そもそも日本は全エネルギーの87%を輸入化石燃料に依存しており、この水準は先進国でも際立って高い。福島後の原発停止政策の帰結として、日本は構造的に、世界で最も化石燃料の供給混乱に弱い富裕国になってしまった。






