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NATOの終わりの始まり? トランプ政権は欧州を「敵」認定して分断しようとしているのか
現首相のイェンス=フレデリク・ニールセンはEU加盟問題には触れていないが、グリーンランド大学(イリシマタサルフィク)の2024年調査では、独立してEU加盟に関する住民投票が行われたら、グリーンランド人の60%が賛成票を投じると予測されている。
もしグリーンランドが独立してEU加盟を目指すことになれば、トランプ政権にはEUが「アメリカの利益追求を邪魔する存在」と映る可能性が高い。
それにしても、グリーンランドも欧州もNATOの一員で、同盟国のはずなのに、このように敵対するとは。なぜトランプ政権は、これほどEUを敵視するのだろうか。
分断政策を前に、EUはどうするか
トランプ大統領は、対EUの貿易赤字を極めて重視している。モノの貿易赤字は約2360億ドルに上る(2024年、ただしサービス貿易は約890億ドルの黒字)。
今までアメリカとEUとは、世界の標準策定をめぐる争いで、激しくぶつかってきた。大きなライバルとして特に立ちはだかってきたのは、2010年代以降である。アメリカから見れば、EUの打ち出す標準政策は「アメリカの自由貿易を阻害する非関税障壁」であった。EUはアメリカから独自の標準を盾に輸入をせず貿易黒字をためこむだけではなく、現在アメリカが世界覇権を維持しようとするデジタル分野では「非関税障壁」で邪魔をする存在と見られてきた。
しかも、トランプ第二次政権になって、EUと南米南部共同市場(メルコスール)の貿易協定の進捗にも弾みがついている。南米の国々にとっては、国家元首がアメリカに移送されたベネズエラの事変は大ショックだったようだ。停滞していて実現しないのではと思われていたこの協定が発効の運びとなれば、世界の地殻変動が起きると言われてきた。
EUはアメリカにとって、経済のみならず地政学的なライバル、あるいは強敵になってきたのだ。
今回のことは、EUの結束を深める結果になるのだろうか、それとも分裂して弱体化する道をたどるのだろうか。
外国からの圧力に抵抗するか否かは、一国の命運を変えてしまうことがある。かつて日本が植民地にならなかったのは、日本人が一致団結して、列強の分断政策にのらなかったからだ。
ドイツ関税同盟もそうだった。小国は大英帝国の分断政策に対して「単独協定を結んだら、国内自由貿易を崩壊させる」と認識して、世界一の大帝国の甘い罠に応じなかったのだ。結束は深まり政治的統合は進み、のちのビスマルクによる統一ドイツ誕生の経済的基盤となった。
今のEUは、このような歴史の教訓を踏まえた上で、法的に設計されている。それに、当時と全く比較にならないほど単一市場は深化している。
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