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NATOの終わりの始まり? トランプ政権は欧州を「敵」認定して分断しようとしているのか
ドナルド・トランプ米大統領(2025年12月15日、ワシントンDC) Lucas Parker-Shutterstock
<アメリカのEU敵視が招くのは「経済戦争以上」の未来か>
もはやEUはパートナーではない?
ドナルド・トランプ大統領が、欧州の8つの国に2月1日から輸入品に10%の関税を、6月1日からは25%の関税を課すと、自身のソーシャルメディアで発表した。「グリーンランドの完全買収に関する合意が締結されるまで、この関税は適用され続ける」という。これら8カ国は、デンマークがリードしているグリーンランドでの軍事任務に参加する国々と一致する。「(8カ国は)不明な理由でグリーンランドを訪れた」「この危険なゲームに興じるこれらの国々は、容認できないほどのリスクを負っている」と述べた。
欧州は大ショックで、18日には日曜日だというのに欧州連合(EU)27カ国大使による緊急会議が開かれた。22日夜には緊急EU首脳会議が開かれる。異例のことである。
いよいよアメリカが欧州を敵視する時が来たのだろうか。
そもそもEUは単一市場で、加盟27カ国は貿易協定を結ぶ主権をEUに渡している。当然、関税もEU共通である。例えば某国がドイツと貿易協定を結ぶ、某国がフランスに関税を課すといった措置は、法的に消滅している。交渉するのは、EUの欧州委員会だ。
「それなら、国別の関税は出来ないのだから、心配することはないのでは」と思われるかもしれない。実は事務的には、EUの国別で対処するのは不可能ではない。世界的に税関の輸出入の書類には「EU(製)」という名前は存在せず、国別に名前が記されているからだ。しかしアメリカの措置は、世界貿易機関(WTO)のルール違反であり、EUは間違いなくWTOに訴えると思われる。トランプ政権は「どこ吹く風」だろうが。
トランプ大統領のこの手法は、歴史上によく見られる古典的な分断政策と捉えることができる。例えば19世紀前半、プロイセンが中心となって「ドイツ関税同盟」をつくった。これに対し大英帝国は、元々存在する争いを利用して分断しようと、小規模なドイツ領邦に二国間関税条約を提案して、離脱と分裂を促そうとした。
ここで一つの重大な問いが浮かぶ。トランプ政権はEUを分断しようとする意図があるのだろうか。読み解く重要な鍵の一つはウクライナにあると思う。
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