コラム

バーレーンの金メダリストの大半は帰化人だった

2018年09月26日(水)11時55分
バーレーンの金メダリストの大半は帰化人だった

女子1500m、女子5000mで金メダルを獲得したバーレーンのカルキダン・ゲザヘグネはエチオピア出身 Issei Kato-REUTERS

<インドネシアで開催されたアジア大会。中東勢では小国のバハレーン(バーレーン)、カタル(カタール)が奮闘し、人口5.5万~5.6万人当たり1個という驚異的な確率で金メダルを獲得したが、それは両国のスポーツ政策の賜物だった>

8月なかばからインドネシアで開催されていたアジア大会は日本選手の大活躍もあって、メディアの注目度も高かったようだ。一部競技だけ見ていると、中国・日本・韓国のメダルラッシュばかりが目立ち、アジア大会というより、東アジア大会かと見まごうばかりであったが、日程が進むにつれて、さまざまな国の選手の活躍も注目されるようになってきた。

とくに開催国インドネシアが金メダル、全メダル数で三強につぐ第4位につけたことは、やはり地元開催ということで選手育成の力の入れかたや応援の後押しが影響したのであろう。

一方、どうしても中東の選手たちに目がいってしまうのは一種の職業病のようなものだろう。残念ながら、金メダル獲得ベスト10のなかで中東勢はイラン(6位)だけ。しかし、インドネシアのほか、ウズベキスタン(5位)、カザフスタン(9位)といった国を含めると、イスラームの国がベスト10中4国を占めることになる。いずれの国も、これまでのアジア大会で多くのメダルを獲得しており、アジアではスポーツ大国と位置づけられる。

ちなみに、今回のアジア大会における日本でいうところの中東諸国のメダル獲得数は下記のとおりである(日本では中東の範疇に入れられるトルコやイスラエルはアジア大会には参加していない。ちなみに総参加国・地域数は45)。

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なお、一つもメダルを取れなかった国が全参加国中9か国あり、そのうちオマーン、パレスチナ、イエメンの3国が中東勢である。

興味深いのは中東勢で金メダル獲得数11位にバハレーン(バーレーン)、15位にカタル(カタール)といった湾岸の小国がつけていることだ。バハレーンは人口約142万人、カタルは約267万人である。ただし、両国とも外国人住民が多いことで知られ、バハレーンでは自国民の人口は半分弱の67万人、カタルは1割強の33万人にすぎない(カタル人の人口は公表されていないので推計)。

単純計算でいうと、日本は1億2000万人の人口で金メダルが75個なので、160万人当たり金メダル1個ということになる。ところがバハレーンでは人口5万6000人当たり金1個、カタルは5万5000人に1個という計算だ。いかにこれら2国が驚異的なメダル獲得率をもっているかがわかるだろう。

同じアラブ諸国、あるいは湾岸諸国と比較しても図抜けたスポーツ大国だ。たとえば、同じ湾岸のUAEやクウェートもかなり健闘したが、メダル獲得数ではバハレーン・カタルの後塵を拝している。そして、実はバハレーン・カタルとUAE・クウェートでは大きくスポーツに対する取り組みが異なるのである。

プロフィール

保坂修司

日本エネルギー経済研究所研究理事。
慶應義塾大学大学院修士課程修了(東洋史専攻)。在クウェート日本大使館・在サウジアラビア日本大使館専門調査員、中東調査会研究員、近畿大学教授等を経て、現職。早稲田大学客員教授を兼任。専門はペルシア湾岸地域近現代史、中東メディア論。主な著書に『乞食とイスラーム』(筑摩書房)、『新版 オサマ・ビンラディンの生涯と聖戦』(朝日新聞出版)、『イラク戦争と変貌する中東世界』『サイバー・イスラーム――越境する公共圏』(いずれも山川出版社)、『サウジアラビア――変わりゆく石油王国』『ジハード主義――アルカイダからイスラーム国へ』(いずれも岩波書店)など。

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