タイ最大政党、次期政権で支持決定できず

タイ議会の最大政党である野党の国民党は1日、次期政権を樹立するためにどの政党を支持するのかどうか決定を保留した。これでペートンタン首相(39)が失職後の先行き不透明感がさらに続くことになった。8月29日の記者会見でペートンタン氏(2025年 ロイター/Chalinee Thirasupa)
Chayut Setboonsarng
[バンコク 1日 ロイター] - タイ議会の最大政党である野党の国民党は1日、次期政権を樹立するためにどの政党を支持するのかどうか決定を保留した。これでペートンタン首相(39)が失職後の先行き不透明感がさらに続くことになった。与野党の2陣営は国民党が握る重要な票を巡って駆け引きを続けている。
国民党はどの政権にも加わらない方針だが、下院の約3分の1を占めている。憲法裁判所が8月29日、ペートンタン氏を倫理基準に反すると判断し解職を命じたことで生じた政治的な行き詰まりを打開するキングメーカーになり得る。
国民党の議員らは9月1日の会合で、ペートンタン氏の与党タイ貢献党を支持するか、6月に与党連立政権から離脱したタイの誇り党を支持するかどうかを検討した。
ペートンタン氏は富豪シナワット一族の出身者かまたは支援を受けた人物として、軍や司法が失脚に追い込んだ6人目の首相となった。
タイ貢献党はペートンタン氏の父で巨額の資産を有するタクシン・シナワトラ元首相が創設した政党だ。しかし、支持率低下に直面しており、連立政権の立て直しは難しい。一方、かつて連立政権を組んだタイの誇り党が政権樹立のため、国民党と手を組む余地が生まれている。
3日には臨時議会が始まる予定だ。下院の事務総長はロイターに対し、各党が候補者を指名する準備ができれば、今週中にも新たな首相選出投票を実施できるとの見通しを示した。
ただし、首相選出に必要な票数を確保できている政党はなく、選出までの過程が長期化する可能性がある。新たな政権樹立は期限が設けられていない。
今後の焦点となる国民党は、反体制色の強い前進党の後継政党。2023年の総選挙で第一党となったが、王党派の軍部と結び付いた議員らに阻まれて政権入りできなかった。