サントリーの新浪会長辞任 サプリ購入を警察が捜査、会社が説得

9月2日 複数の国内メディアは2日午後、サントリーホールディングス会長の新浪剛史氏(写真)が辞任すると報じた。写真は2月25日、ニューヨーク市で撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
Kentaro Okasaka Anton Bridge
[東京 2日 ロイター] - サントリーホールディングスは2日、新浪剛史会長が1日付で辞任したと発表した。適法との認識で購入したサプリメントについて、警察から捜査を受けたとの報告が8月22日にあったという。会社側が辞任を説得した形。鳥井信宏社長は記者会見し「世界中のお客様にご心配をおかけして申し訳ない」と陳謝した。
違法性は捜査中であるものの「捜査の結果を待つまでもなく、サプリメントに関する認識を欠いた新浪氏の行為は当社代表取締役会長という要職に堪えないと判断した」という。サプリの種類や入手経路は、捜査が進行中として明らかにしなかった。
鳥井氏は、業績にも影響が及ぶ可能性があると説明。「全社一丸となって信頼回復に努めたい」と語った。「大胆で決断力、実行力のある経営者で本当に尊敬していた。二人三脚できなかったことは本当に残念だ」と話した。
鳥井氏は、同28日に開かれた取締役らによる緊急会合では「捜査結果を待って判断した方が良いのではないか」という意見が出た一方、捜査が入ったということで解任すべきだとの見解もあったが「この10年、グループの成長に貢献していただいたのも事実で、全員一致して『辞職をお願いしよう』ということになった」と説明した。
鳥井氏は、米国出張から戻った新浪氏と今月1日に会い、辞任について協議したいと話した。新浪氏は最初は少し驚いた様子だったが、一身上の都合で辞任することに決めたという。反発はなかったかとの質問に「そのような印象は持たなかった」と答えた。
新浪氏は「会長の仕事を続けられなくなったことは残念に思っている」とコメントしているという。
正式発表前に新浪氏の辞任を報じた東京新聞によると、違法薬物の所持や使用は確認されていないという。山田賢治副社長は「サプリを扱っているサントリーの代表取締役会長として、そうした疑義が生じること自体、求められる資質を欠く」と話した。
新浪氏はコンビニエンスストア大手ローソンの会長を経て、サントリーHDの創業家出身の佐治信忠会長からの要請で2014年10月、創業家以外からは初めて同HDの社長に就任した経緯がある。今年3月に会長に就任していた。自身も創業家出身の鳥井氏によると、佐治会長からは「(新浪氏に対する辞任の)説得はお前に任せる。新浪さんとお前が協議しろ」と言われたという。
新浪氏は日本を代表する企業経営者として、14年からは政府の経済財政諮問会議の議員を、23年から経済同友会の代表幹事を務めていた。経済同友会のコメントは現時点で得られていない。
林芳正官房長官は午後の会見で、新浪氏の経済財政諮問会議議員としての登用を続けるかについて「適時適切に対応する」と述べた。