ASEAN内の貿易強化を マレーシア首相 声明案「関税は逆効果」

7月9日、マレーシアのアンワル首相(写真)は、首都クアラルンプールで開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で演説し、米関税を巡る世界的な不透明感が強まる中、ASEAN各国が「目的をもって行動」し、域内の貿易を強化すべきだと述べた。クアラルンプールで9日撮影(2025年 ロイター/Hasnoor Hussain)
Danial Azhar Rozanna Latiff
[クアラルンプール 9日 ロイター] - マレーシアのアンワル首相は9日、首都クアラルンプールで開いた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で演説し、米関税を巡る世界的な不透明感が強まる中、ASEAN各国が「目的をもって行動」し、域内の貿易を強化すべきだと述べた。
関税、輸出規制、投資障壁は「地政学的な対立の鋭利な道具」だと指摘。米国の名指しは避けた。
「外部の圧力に対処する中、われわれは域内の基盤を強化する必要がある。われわれの間での貿易を増やし、相互の投資を増やし、セクター横断的な統合を断固として進めるべきだ」と述べた。
さらに「世界情勢は依然として不確実であり、われわれ独自の地域で目的を持って行動する必要性を強調し過ぎることはない」と訴えた。
クアラルンプールではASEANと米国、中国、日本、ロシア、インド、欧州連合(EU)など主要貿易相手国・地域との一連の会合が予定されている。
中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相は10日から会合に参加する見通し。ルビオ米国務長官も会合に出席する。
ロイターが入手したASEAN外相会議の共同声明草案は「国際貿易の緊張の高まりと国際経済情勢の不確実性の増大、特に一方的な関税関連措置」に懸念を表明。
米国は名指ししておらず、5月のASEAN首脳会議の声明と同様の文言を使っている。関税は「逆効果であり、世界経済の分断を悪化させるリスクがある」としている。
マレーシアはASEAN議長国。