仏大統領、国賓として訪英 「米中依存から脱却を」

英国のチャールズ国王は8日、フランスのマクロン大統領を国賓として迎えた。写真はウィンザー城で同日撮影(2025年 ロイター/Dylan Martinez)
Andrew MacAskill Elizabeth Pineau
[ロンドン 8日 ロイター] - 英国のチャールズ国王は8日、フランスのマクロン大統領を国賓として迎えた。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後、EU加盟国の首脳が国賓待遇で招かれるのは初めて。両国間のより緊密な関係の回復を示唆した。
マクロン大統領は、英国王室の歓迎を受けた後、英議会で異例の演説を行った。各国が直面する地政学的脅威を列挙し「米中への過度の依存」に警戒すべきだと主張。「この二重依存から欧州経済・社会へのリスクを軽減する」必要があると述べた。
「英仏は、同盟が大きな変化をもたらすことができる点を改めて世界に示す必要がある。われわれが直面する課題を克服する唯一の方法は、共に手を取り合い、肩を並べて歩むことだ」と連携を呼びかけた。
スターマー首相率いる労働党が昨年政権に返り咲いて以来、英国はブレグジットを経て悪化した欧州同盟国との関係の再構築に努めており、チャールズ国王は政治的な実務協議に向けた基盤を整えるとみられる。チャールズ国王は、この後、ウィンザー城で行われる国賓晩餐会で行う演説で、両国が直面する「多数の複雑な脅威」を強調するとみられる。
英国とフランスは、EU離脱後の関係のあり方や、欧州に流入する難民対応を巡り緊張関係にあるものの、ウクライナ支援の「有志連合」形成などで緊密に協力している。
マクロン大統領の訪英に際し両国は、フランス電力(EDF)がイングランド東部の原子力発電所建設プロジェクトに11億ポンド(15億ドル)を投資すると発表した。
仏大統領の国賓訪問は16年前のサルコジ元大統領以来。