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FCS経済圏の極貧層、30年までに4億3500万人に=世銀調査

2025年06月30日(月)11時20分

 世界銀行が27日発表した報告書によると、食糧不安や政府の基盤が弱いことなどを背景にした脆弱性・紛争状況(FCS)にある経済圏では4億2000万人超が1日当たり3ドル未満で生活することを余儀なくされており、その数は世界人口の15%未満にもかかわらず、残りの地域全体よりも多いことが分かった。世銀ロゴの資料写真(2025年 ロイター/Elizabeth Frantz)

[27日 ロイター] - 世界銀行が27日発表した報告書によると、食糧不安や政府の基盤が弱いことなどを背景にした脆弱性・紛争状況(FCS)にある経済圏では4億2000万人超が1日当たり3ドル未満で生活することを余儀なくされており、その数は世界人口の15%未満にもかかわらず、残りの地域全体よりも多いことが分かった。こうした生活を強いられるFCS経済圏の人々は2030年までに、世界の極度の貧困層のほぼ60%に相当する4億3500万人に増加する見通しだ。

過去数十年間にわたって世界最大の援助国だった米国の大統領にトランプ氏が復帰し、開発途上国への支援に後ろ向きの姿勢を示している中で世銀は国際的な援助と債務救済、技術支援の拡大を求めている。

10億人前後が暮らすFCS経済圏について報告書は「世界的な貧困と食糧不安の震源地となっており、紛争の頻度と激化によって状況がさらに悪化している」と言及。経済活動が停滞またはさらに弱まる可能性があり、最も激しい紛争地では5年後に1人当たりの国内総生産(GDP)が約20%縮小する可能性があると指摘した。

FCS経済圏の住民は平均で6年間しか学校に通わず、平均寿命は他の発展途上国より7年短い。1人当たりのGDPは20年以降に年平均1.8%縮小し、他の発展途上国が同2.9%拡大したのとは明暗を分けたとした。

世銀は「貧困の削減に向けた進展は10年代半ば以降に停滞しており、紛争の激化や経済の脆弱性、成長の鈍化の複合的な影響を反映している」と説明。貧困からの脱却には的を絞った国内改革と、それと調和する世界からの長期的な関与が必要だとし、不正や排除といった根本原因への対応、教育や医療へのアクセスの拡大、インフラの改善に重点を置く必要があると訴えた。

また、観光や農業への投資は、増加する生産年齢人口の雇用創出に役立つとして「健全な政策と世界からの持続的な関与があれば、FCS経済圏は発展へのより良い道を切り開くことができる」と言及した。

ロイター
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