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アングル:NY市長民主党予備選、マムダニ氏勝利は中間選挙で諸刃の剣

2025年06月26日(木)14時28分

11月の米ニューヨーク市長選に向けた民主党予備選が6月24日投開票され、民主社会主義者を自称するゾーラン・マムダニ氏(33)が番狂わせの勝利をつかんだ。12日、ニューヨークで代表撮影(2025年 ロイター)

[ニューヨーク 25日 ロイター] - 11月の米ニューヨーク市長選に向けた民主党予備選が24日投開票され、民主社会主義者を自称するゾーラン・マムダニ氏(33)が番狂わせの勝利をつかんだ。来年は連邦議会の上下両院選や州知事選挙などが一斉に行われる中間選挙を控えているだけに、今回の予備選結果は民主党には諸刃の剣となる可能性がある。

マムダニ氏の予想外の勝利を受け、穏健派の前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ氏(67)の勝利阻止で結束していた進歩主義派の活動家らは大いに沸いた。

ただ、全米の共和党陣営も歓喜した。

当選確実となった直後、共和党のバンス副大統領は交流サイト(SNS)に「民主党の新しい指導者」と底意のある祝辞を投稿した。共和党の下院選挙対策グループはマムダニ氏を「反ユダヤ的な社会主義急進派」と呼び、来年の中間選挙で共和党候補と接戦が予想される民主党候補全てに結び付けると宣言した。

トランプ大統領は25日にSNSに投稿し「ついに民主党は一線を越えた。100%共産主義者の過激派、ゾーラン・マムダニが民主党予備選で勝利し、市長選へと向かっている」と戦意をむき出しにした。

第2次トランプ政権発足から5カ月、民主党は依然として足場固めに躍起の有様。米最大都市ニューヨークで、物怖じしない左派候補の擁立はリスクとメリットの両方を浮き彫りにしている。

マムダニ氏は勝利演説で民主党指導者の役割を担う覚悟を見せたようだ。「労働者のため正々堂々と闘う民主党の模範として」市政を運営すると宣言した。市長就任後は権限を行使し「ドナルド・トランプのファシズムを拒絶する」と支持者らに誓った。

マムダニ氏の選挙運動は、明るい語り口とSNS拡散で熱い支持を集めた。民主党が26年以降も見据えて若年層有権者の支持を取り付ける足がかりとなった可能性がある。泡沫候補だったマムダニ氏が獲得票を上積みできた背景には、一貫して生活費問題に焦点を当てたことがあった。昨年の大統領選で民主党がうまく対処し損ねた問題だ。

ロイター/イプソスが今月初めに行った世論調査によると、民主党支持者は新世代の執行部と、経済問題に注力する政党を求めている。

民主党系シンクタンクの「アメリカ進歩センター」のニーラ・タンデン最高経営責任者(CEO)はマムダニ氏の勝利を受けて「生活費が足元の課題だ。これこそが一貫して政治を動かす。賢明な政治指導者らはこれに取り組む」とX(旧ツイッター)に投稿した。

マムダニ氏はアフリカのウガンダでインド人の両親のもとに生まれた。本戦で当選すればニューヨーク市初のイスラム教徒かつインド系市長となる。民主党バイデン前政権はイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を支持し、この結果アジア系、特にイスラム教徒の有権者が民主党に嫌気がさして離れていったが、マムダニ市長誕生となれば、支持をたぐり寄せる可能性もある。

ロイター
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