ニュース速報
ワールド

米の対イラン作戦、おとりの爆撃機投入で不意打ち 極秘に計画

2025年06月23日(月)11時40分

 米軍のイラン核施設攻撃作戦が始まった21日、ミズーリ州の基地からB2爆撃機の一団が離陸し太平洋のグアム島に向かっているのが確認され、専門家は攻撃に備えた事前配備の可能性があるとみていた。だが、米軍が22日明らかにしたところによると、これらの爆撃機はおとりだった。写真は米国の攻撃を受けたフォルドゥ地下核施設の上部を捉えた衛星画像。22日撮影。マクサー・テクノロジーズ提供(2025年 ロイター)

[ワシントン 22日 ロイター] - 「ミッドナイト・ハンマー」と名付けた米軍のイラン核施設攻撃作戦が始まった21日、ミズーリ州の基地からB2爆撃機の一団が離陸し太平洋のグアム島に向かっているのが確認され、専門家はイラン攻撃に備えた事前配備の可能性があるとみていた。

だが、米軍が22日明らかにした攻撃の詳細によると、これらの爆撃機はおとりだった。実際に攻撃を行ったB2ステルス爆撃機7機は東に向かい、探知されずに18時間飛行した。通信を最小限にとどめ、空中で給油を受けたという。

爆撃機がイラン領空に近づくと、米潜水艦が20発以上の巡航ミサイル「トマホーク」を発射。イランの戦闘機やミサイルを警戒し、米戦闘機がおとりとして爆撃機の前方を飛行した。

米国防総省によると、B2爆撃機は重量3万ポンド(約13.6トン)の地中貫通弾(バンカーバスター)14発を投下し、作戦には軍用機125機余りが投入された。

米軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長は記者会見で、イランは米軍機に1発も発射できず、完全に不意を突かれたと指摘。「イランの戦闘機は飛行せず、同国の地対空ミサイルシステムも任務中ずっとわれわれを捉えていなかったようだ」とし、「われわれは奇襲の要素を維持した」と述べた。

また、作戦は極秘だったとし、「ワシントンで計画のタイミングや内容を知る人はごく少数に限られた」と述べた。

ヘグセス国防長官は、トランプ大統領が攻撃を命じた場合に米軍が対応できるよう、数カ月の準備期間を要したと述べた。ケイン氏は、作戦自体はわずか数週間でまとめられたと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

NZの投資家向け「ゴールデンビザ」に申請殺到、半数

ビジネス

午後3時のドルは147円前半に上昇、中東情勢悪化な

ビジネス

米のイラン攻撃で経済の不透明感増大、FRB議長証言

ビジネス

インド、世界的金融企業がデリバティブ市場強化のため
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 2
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 9
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 10
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 9
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中