ニュース速報
ビジネス

インド、世界的金融企業がデリバティブ市場強化のため採用拡大

2025年06月23日(月)15時34分

 6月20日、シタデル・セキュリティーズやIMCトレーディング、ミレニアム、オプティバーなど世界で展開する金融企業が、急成長するインドのデリバティブ市場への対応を強化するために採用を拡大している。写真は、インド・ムンバイで開催されたグローバル・フィンテック・フェスト期間中にインド国立証券取引所のブースで働く人々。2024年8月撮影(2025年 ロイター/Francis Mascarenhas)

[ムンバイ 20日 ロイター] - シタデル・セキュリティーズやIMCトレーディング、ミレニアム、オプティバーなど世界で展開する金融企業が、急成長するインドのデリバティブ市場への対応を強化するために採用を拡大している。

先物取引業協会によると、4月の世界でのデリバティブ取引高のうちインドが60%弱を占めた。インドの規制当局によると、契約の想定元本は2018年3月の48倍に膨らんだ。

欧米企業にとって、ゴールドラッシュは無視できないほど大きなものであり、特に米国のトレーディング会社ジェーン・ストリートが昨年インド取引戦略で23億40000万ドルを稼いだ後、一部の企業幹部はこう語っている。

IMCトレーディングのマネージングディレクター、ジョセリン・デンタンド氏は「より多くのプレーヤーがチャンスをうかがっている取引と、求人市場の両面で競争が激化している」とし、26年末までに担当者を50%超増やして150人超にすると明らかにした。

著名投資家ケネス・グリフィン氏が創業したシタデルは、最近採用したインド担当最高執行責任者(COO)と同国の取引責任者を含めて計約10人のチームを運営している。シタデルはコメントを拒否した。

情報筋によると、ミレニアムはアラブ首長国連邦(UAE)ドバイとシンガポールを経由してインド担当のデスクを拡大している。ミレニアムはコメントを拒否した。

オランダのオプティバーの広報担当者は、24年にインドへ進出し、25年末までに担当チームを現在の70人から100人へ増やす計画を明らかにした。

オランダのダ・ヴィンチ、英キューブ・リサーチ・アンド・テクノロジーズもインドでクオンツ運用職を募集している。

<技術と人材の獲得を急ぐ>

世界の取引企業もインドの主要大学から人材を積極的に採用したり、国内の競合他社から引き抜いたりしてインドでの事業拡大を狙っている。

香港を拠点とするアクイス・サーチは、取引企業が過去2年間にインドで取引と技術、法令順守、リスク、法務の各分野にわたって計約300人を採用したと推定している。クオンツ・テック部門責任者のアンプルナ・ビスト氏は「今後数年間は好調に推移すると予想している」と話す。

インド屈指のクオンツ運用企業アルファグレップ・インベストメント・マネジメントのトップ、バウティク・アンバニ氏は人材獲得競争の激化を背景に、若手トレーダーの給与も3年前の2倍超になったと指摘する。

インド国立証券取引所(NSE)は、今後2年間にコロケーションのサーバーを2000台増やす計画。24年3月時点ではコロケーションのサーバーがなかった古参のボンベイ証券取引所(BSE)は、26年度末までに最大で500台設置することを目指している。

BSEのスンダララマン・ラママーシー最高経営責任者(CEO)は「私たちは後発組であり、特に高頻度取引企業やクオンツ運用企業からのコロケーションサーバーの需要が満たされていない中で付加価値を提供する必要がある」と言及。BSEは過去2年間に技術分野で45億─50億ルピー(約5200万─5800万ドル)を投じたという。

NSEと、規制当局のインド証券取引委員会は問い合わせに回答しなかった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ首都と周辺に夜間攻撃、8人死亡・多数負傷

ワールド

イスラエル、イラン首都に大規模攻撃 政治犯収容刑務

ワールド

ゼレンスキー大統領、英国に到着 防衛など協議へ

ワールド

プーチン氏、米の攻撃「正当性なし」 イラン外相と会
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中