ニュース速報
ワールド

米英、対ロ制裁強化 ガスプロムネフチなどエネルギー部門標的

2025年01月11日(土)03時37分

米バイデン政権は10日、ロシアの石油・天然ガス収入を標的とする大規模な制裁措置を発動させた。2006年1月撮影(2025年 ロイター/Sergei Karpukhin)

Timothy Gardner Daphne Psaledakis

[ワシントン/ロンドン 10日 ロイター] - 米バイデン政権は10日、ロシアの石油・天然ガス収入を標的とする大規模な制裁措置を発動させた。対象にはロシア石油大手ガスプロムネフチとスルグトネフテガスが含まれる。制裁強化は20日に発足するトランプ次期米政権とウクライナの和平交渉力を強めることが狙いとみられる。 

英国も米国と歩調を合わせ、ガスプロムネフチとスルグトネフテガスに対する制裁措置を導入。ラミー外相は「石油収入はロシアのプーチン大統領の戦争経済の生命線だ」とし、石油会社に制裁を加えることでロシアの戦争資金を枯渇させることができると述べた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、今回の制裁措置でロシアは大きな打撃を受けるとし、「ロシアの石油収入が減れば早期に平和を実現できる」とXに投稿した。

バイデン政権高官は記者会見で「ロシアが戦争を遂行する上で最大の収入源となっているエネルギー部門に対する最も重要な制裁」と言及。ロシアの石油生産と流通網の全ての段階に打撃を与えることを目的としているとし、効果的に実施されれば、ロシアは毎月数十億ドルの損失を被るとの見方を示した。    

米財務省によると、石油の探査、生産、販売を一貫して行うガスプロムネフチとスルグトネフテガスのほか、ロシア産の石油を輸送した183隻の船舶も制裁対象とした。こうした船舶の多くは西側諸国の制裁の回避に利用されている「影の船団」に属している。

今回の措置は仲介業者やトレーダーのほか、港湾施設も対象。バイデン政権高官は「生産と流通の全ての段階を網羅しており、ロシアによる制裁回避が一段と困難になると確信している」と述べた。  

措置の実施は、対象企業が関連取引を完了できるよう3月12日まで猶予される。

バイデン政権はトランプ次期政権に今回の制裁措置について説明。バイデン政権高官は、制裁措置は「次期米政権とウクライナに対し、公正で永続的な平和を仲介するための大きな交渉力を提供するものになる」と述べた。

米政府の制裁措置について、ガスプロムネフチは不当かつ違法だと表明。これまで通り運営を続けるとしている。

米財務省の制裁発表に先立ち制裁内容を伝える文書が出回ったことで、原油価格は約3%急騰。北海ブレント先物LCOc1>は一時1バレル=80ドル近くまで上昇した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、アルファベット株43億ドル取得 ア

ワールド

焦点:社会の「自由化」進むイラン、水面下で反体制派

ワールド

アングル:ルーブルの盗品を追え、「ダイヤモンドの街

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円で横ばい 米指標再開とFR
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 8
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 9
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 10
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中