トランプ氏暗殺未遂の男を訴追、銃不法所持で 現場に12時間潜伏か
トランプ前大統領暗殺未遂事件を巡り拘束されたライアン・ラウス容疑者が、フロリダ州の裁判所に出廷し、銃不法所持の疑いで訴追された。9月15日、フロリダ州ウエストパームビーチで撮影(2024年 ロイター/Marco Bello)
[ワシントン 16日 ロイター] - トランプ前大統領の暗殺未遂とみられる事件を巡り拘束されたライアン・ラウス容疑者(58)が16日、銃不法所持の疑いで訴追された。捜査が続く間、拘束される見通し。容疑者はフロリダ州の裁判所に出廷した。
事件は15日、トランプ氏がプレーしていたフロリダ州ウェストパームビーチのゴルフ場の近くで発生。シークレットサービス(大統領警護隊)が銃を持った人物を目撃し、発砲した。トランプ氏は無事だった。連邦捜査局(FBI)は暗殺未遂との見方を示した。
容疑者はトランプ氏を目視できておらず、一度も発砲しなかったという。
シークレットサービスのロウ長官代行は記者会見で、トランプ氏のゴルフ場訪問は公表されていなかったとし、容疑者が訪問を知っていたかは定かでないと述べた。容疑者はゴルフコースに沿ったフェンスの一般でもアクセスが可能な場所にいたという。
裁判所への提出書類によると、15日午前2時ごろから午後1時半ごろまで11時間半にわたり容疑者の携帯電話が現場付近にあったことが位置情報の記録から判明。逃走に使った車両のナンバープレートは別の車から盗んだもので、車内からは装てん済みの照準器付きアサルトライフルやデジタルカメラなどが見つかった。
<ウクライナを強く支持>
ラウス容疑者はウクライナの熱心な支持者で、2022年のロシアの侵攻後にウクライナに入った。年齢を理由に義勇兵になることができなかったため、義勇兵の募集業務を手伝うことを目指したとジャーナリストに語っている。一方、ウクライナの外国人義勇兵の組織は、ラウス容疑者とは何の関係もないとロイターに述べた。
ノースカロライナ州の郡地方検事当局によると、容疑者は02年に同州法で大量殺傷兵器とされている未登録の自動銃所持の罪を認め、保護観察処分を受けた。また、10年には盗品所持で有罪判決を受けた。
<シークレットサービスへの圧力>
トランプ氏はXスペースのイベントで「突然空で銃声が聞こえた。たぶん4、5発だったと思う」と述べ、シークレットサービスはすぐに銃弾だとわかり私を自分の方に引き寄せたと説明。「シークレットサービスと一緒にいたが素晴らしい仕事をしてくれた」と述べた。
シークレットサービスを称えたものの、「私の警護にはもっと人員が必要だ」と語った。トランプ氏は7月13日にもペンシルベニア州バトラーで演説中に右耳に銃撃を受けている。
バイデン氏は演説で「米国では、意見の相違は銃を突きつけてではなく、投票箱で平和的に解決する」と述べ、暴力を非難した。
シークレットサービスについては人員の増員も含め「さらなる支援が必要」という認識を記者団に示した。
また、ホワイトハウスはバイデン氏がトランプ氏に電話で「無事で安心したと伝え、トランプ氏は電話に謝意を示した」と明らかにした。
トランプ氏は、事件の責任がバイデン大統領と大統領選で対決する民主党候補ハリス副大統領にあると非難。FOXニュースによると、トランプ氏は「彼らの言動のおかげで私は銃撃されている。私は国を救う立場にあるが、彼らは内外から国を破壊している」と主張した。
ジョンソン下院議長は「説明責任が必要」とし、議会も今回の事件の調査に乗り出すと述べた。ジョンソン氏は1回目の事件後、調査のために超党派の特別委員会を設置。事件の責任を問われたシークレットサービスのチートル長官が辞任した。
関係筋によると、今回の事件を受けてトランプ氏の選挙活動のスケジュールに変更はない。16日夜にはXで新たな仮想通貨ビジネスを発表するほか、17日にはミシガン州でタウンホール集会、18日にはニューヨークで集会を開く予定。