ペトロブラス、CEO交代で株価急落 政治介入拡大懸念広がる
5月15日、ブラジル国営石油会社ペトロブラスが、ジャン・ポール・プラテスCEOとセルジオ・カエタノCFOの退任を発表し、株価が急落した。写真はリオデジャネイロの同社本社前で2020年3月撮影(2024年 ロイター/Sergio Moraes)
Fabio Teixeira Marta Nogueira Rodrigo Viga Gaier
[リオデジャネイロ 15日 ロイター] - ブラジル国営石油会社ペトロブラスが15日、ジャン・ポール・プラテス最高経営責任者(CEO)とセルジオ・カエタノ最高財務責任者(CFO)の退任を発表し、株価が急落した。
後任のCEOに、ルラ大統領と近い関係にあるとみられる元国家石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁長官のマグダ・シャンブリアール氏が指名され、ルラ氏がペトロブラスを経済てこ入れのために積極利用して少数株主が犠牲になるとの懸念が広がったためだ。
在任1年半足らずに終わったプラテス氏は、規律を保った設備投資やしっかりした配当を望む市場と、燃料価格安定や投資を通じた雇用創出を求める政治サイドの間で、うまくバランスを取って経営の舵取りをしてきたと市場に評価されてきた。
ジェフリーズのアナリストチームはCEO交代について「同社への(政治)介入を進める動きがエスカレートしているように見える」と述べ、投資判断を「買い」から「ホールド」に修正した。
サンタンデールのアナリストチームは、今後ペトロブラスの投資行動は不確実性が増すだろうと警告した。
一方、燃料価格引き下げや配当縮小、雇用創出と景気刺激のための設備投資拡大を要求してきたルラ政権にとって、プラテス氏の退任は「勝利」を意味する。
シャンブリアール氏のCEO正式就任はまだ先で、それまでは経営幹部の一人であるクラリス・コペッティ氏が暫定CEOを務める。