ニュース速報

ワールド

第1段階の通商合意、中国は「約束果たさず」=米高官

2022年02月02日(水)09時59分

米通商代表部(USTR)のビアンキ次席代表は1日、トランプ前政権時代に締結された米中通商合意第1弾について、中国はコミットメントを達成していないとの見解を示した。2019年7月撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

[ワシントン 1日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)のビアンキ次席代表は1日、トランプ前政権時代に締結し、2021年末が期限だった第1段階の米中通商合意について、中国が目標を達成しておらず、協議を続けていると明らかにした。

ビアンキ次席代表はワシントン国際貿易協会(WITA)のオンラインフォーラムで、「中国が第1段階の約束を果たしていないのは明らかだ。われわれはこれに対処しようとしている」と述べた。

20年1月に締結した第1段階の通商合意で、中国は米国の農産物、工業製品、エネルギー、サービスの購入額を17年比で2000億ドル増やすと約束した。

しかし、ピーターソン国際経済研究所がまとめたデータによると、21年11月までに目標の約60%にしか達していない。

中国税関総署のデータによると、同国の対米貿易黒字は2年連続で減少した後、21年に25%急増し3966億ドルとなった。対米輸出は27%、輸入は33%、それぞれ増加した。

在ワシントン中国大使館の報道官は、新型コロナウイルスや世界的な不況、サプライチェーン混乱による影響にもかかわらず、中国は第1段階の通商合意履行に取り組んできたと強調。

「米国が中国との貿易拡大に向けた健全な雰囲気と条件を作り出せることを期待している。両国の通商チームは通常の連絡を取り合っている」と声明で述べた。

ビアンキ氏は、中国に合意内容を履行させるためにバイデン政権が取っている措置について詳細には言及しなかった。

「われわれの目標は問題をエスカレートすることではないが、中国が確実に責任を果たすよう、利用可能なあらゆる手段を検討していることは確かだ」と述べるにとどめた。

ビアンキ氏はまた、中国との協議は容易ではないと指摘。中国の政府助成や非市場政策は、米国の経済的利益に対する深刻な脅威となっているとの認識を示した。

バイデン政権が計画するインド太平洋地域での新たな経済枠組みについてUSTRが議会と緊密に協議していることも明らかにした。さらなる詳細は今後数週間のうちに発表される予定という。

ビアンキ氏はこの枠組みについて、署名した国の市場アクセス改善は含まれないが、デジタル通商政策や労働規則、環境基準、サプライチェーンの耐性に関する交渉で、米国は貿易パートナーに基準の高い「拘束力のある約束」を求める方針だと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国で安売り店が躍進、近づく「日本型デフ

ビジネス

NY外為市場=ユーロ/ドル、週間で2カ月ぶり大幅安

ワールド

仏大統領「深刻な局面」と警告、総選挙で極右勝利なら

ビジネス

米国株式市場=ナスダック5日連続で最高値更新、アド
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名が海水浴中に手足を失う重症【衝撃現場の動画付き】

  • 3

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 6

    「これが野生だ...」ワニがサメを捕食...カメラがと…

  • 7

    国立新美術館『CLAMP展』 入場チケット5組10名様プレ…

  • 8

    ウクライナ軍がロシアのSu-25戦闘機を撃墜...ドネツ…

  • 9

    この10年で日本人の生活苦はより深刻化している

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 6

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 7

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 8

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 9

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開する…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中