ニュース速報
ビジネス

ロシュ、肥満症薬の後期治験を開始へ 30年めどに市場参入

2025年09月23日(火)11時05分

 スイスの製薬大手ロシュは22日にロンドンで開いた投資家向けイベントで、肥満症の実験薬の一つ「CT─388」を後期治験に進めると述べ、急成長する肥満症薬市場で米イーライリリーやデンマークのノボノルディスクと上位に並ぶことに意欲を示した。2018年2月撮影(2025年 ロイター/Arnd Wiegmann)

Maggie Fick

[ロンドン 22日 ロイター] - スイスの製薬大手ロシュは22日にロンドンで開いた投資家向けイベントで、肥満症の実験薬の一つ「CT─388」を後期治験に進めると述べ、急成長する肥満症薬市場で米イーライリリーやデンマークのノボノルディスクと上位に並ぶことに意欲を示した。

アナリストの間には、肥満症薬市場を2030年代序盤の時点で年間1500億ドル規模と推計する見方もある。ロシュによる後期治験開始の決定は、市場参入に向けた大きな一歩となる。

ロシュは肥満症薬の主要メーカーであるノボノルディスクとイーライリリーに対抗する最初の取り組みとして、23年末に米バイオ医薬品企業カーモット・セラピューティクスを買収し、この薬剤候補を獲得した。初期治験結果で大幅な体重減少を報告した際には、株価が5%近く上昇していた。

先に市場に参入したノボノルディスクとイーライリリーからのシェア奪取が可能と見込んでいる理由について、ロシュの複数の経営幹部は、肥満症薬市場に独自の力学がはたらいていると指摘。大半が現金で取引され、患者が保険の適用を受けずに自己負担している点に言及した。

ロシュの医薬品部門トップのテレサ・グラハム氏は、収益性の高い肥満症薬市場に、競争力のある製品で30年をめどに確実に参入する計画だと話した。同社は肥満症と、2型糖尿病や高血圧といった関連疾患の薬剤候補6種類の治験を実施中で、全て30年までの投入を見込んでいる。このうち3種類については、年間売上高が10億ドルを超える「ブロックバスター」になると予想しているという。

グラハム氏は「(肥満症薬市場で)トップ3に入るのが当社の目標だ」と話した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、新STARTの失効後1年順守を提案 米

ワールド

ルビオ米国務長官、インドとの関係の重要性強調 ビザ

ワールド

旧統一教会の韓総裁を逮捕、尹前政権に金品供与容疑

ワールド

日米韓外相が会談、台湾・南シナ海情勢に懸念表明 北
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがたどり着ける「究極の筋トレ」とは?
  • 3
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世…
  • 8
    米専門職向け「H-1B」ビザ「手数料1500万円」の新大…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「コメの消費量」が多い国は…
  • 10
    「汚い」「失礼すぎる」飛行機で昼寝から目覚めた女…
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 3
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 4
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 7
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 8
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中